墨場必携:和歌
21.4.10 東京都清瀬市
世の中にたえて桜の無かりせば
春の心はのどけからまし
在原業平『古今和歌集』53
山桜ちれば咲きつぐ陰とめて
おほかた春は花にくらせり
賀茂真淵『賀茂翁歌集』
21.4.8 東京都清瀬市
願はくはわれ春風に身をなして
憂ひある人の門を訪はばや
佐佐木信綱『思草』
藤原の大宮どころ菜の花の
霞めるをちの天の香具山
佐佐木信綱『新月』
春雨のふた日ふりしき背戸畑の
ねぎの青鉾[あをほこ]並み立ちにけり
伊藤左千夫『左千夫歌集』
月前帰雁
行く雁の影だにしばし見るべきを
うたてもかすむ夜半の月かな
橘千蔭『うけらが花』
21.3.31 東京都清瀬市
雲雀落
うちむれて菫摘むなるをとめ子が
袖に落ちくる夕ひばりかな
橘千蔭『うけらが花』
木の花の散るに梢を見あげたり
その花のにほひかすかにするも
木下利玄『紅玉』
蒲公英のたけて飛ぶ日となりにけり
夢殿のべの蜜蜂のこゑ
植松寿樹『法隆寺』
20.4.4 東京都清瀬市
【文例】唱歌・童謡へ