墨場必携:近現代詩 神無月 佐藤春夫...
・「神無月」より第1聯 佐藤春夫
神無月 秋ふけにけり
野の径[みち]に
春の日の白き花 青[あを]き実となり
風たちてうすれ日かげり
蝶[てふ]舞はず
卓に来て蛾[ひとりむし]重く翅[は]ばたき
・(題なし) 佐藤春夫
中夜忽自起
汲此百尺泉
林木含白露
星斗在青天 賈島
つと起き出でて小夜ふけを
この井戸[ゐど]ふかく清水[しみづ]くむ
木立の樹々の露けさよ
ひさかた星のきららかに
論集「美の世界」所収
・秋思 佐藤春夫
露濃圧架武道熟
日嫩登場*椏香 *はノ木偏に「罷」字
商量人生如意事
及身強健得還郷 陸游
露けきに架[たな]もたゆげに葡萄熟[う]れ
ややにして日は和み来て*椏[ひあ]かをる
人の世のあらまし事をおもんみれば
ふるさとにわれ息災にかへり居る
「玉笛譜」所収
20.10.31 ひよどり 東京都清瀬市
【文例】
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