墨場必携:唱歌・童謡 故郷の空 大和田建樹...
・故郷の空 大和田建樹
1 夕空晴れて 秋風吹き
月影落ちて すず虫鳴く
思へば遠し 故郷の空
ああ わが父母 いかにおはす
2 澄みゆく水に 秋萩垂[た]れ
玉なす露は 芒[すすき]に満つ
思へば似たり 故郷の野辺
ああ わが兄弟[はらから]たれと遊ぶ
『明治唱歌』明治21年
20.11.1 東京都清瀬市
・旅愁 犬童球渓
1 更けゆく秋の夜 旅の空の
わびしき思ひに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは 郷里の家路
更けゆく秋の夜 旅の空の
わびしき思ひに ひとりなやむ
2 窓うつ嵐に 夢も破れ
遥けき彼方に こころ迷ふ
恋しやふるさと なつかし父母
思ひに浮かぶは 杜のこずえ
窓うつ嵐に 夢も破れ
遥けき彼方に こころ迷ふ
『中等教育唱歌集』明治40年
・湖上の月 吉岡郷甫
1 月影さやけく風も吹かぬ秋の夜半[よは]
真澄の鏡か塵もおかぬ湖
いざわが友 小舟[をぶね]出だせ
いざわが友 纜[ともづな]解けや
2 小波[さざなみ]あや織り魚もおどる水の面[おも]
桂のさ枝か棹[さを]にかかる水[みづ]草
いざわが友 高く歌へ
いざわが友 舷[ふなばた]うてや
20.10.17 東京都清瀬市