陽だまり
陽の当たるところに籠を出しておくと、ひとりずつ入っています。
もっとも、ひたちはひとりでもう籠にギュウギュウです。
くっつくと怒る気難しいみやも、籠越しの時はむしろ気配の
ある方へ寄ります。恥ずかしがり屋なのか。
ひたちはみやのようには本に関心を持っていません。もっとも本を開いている人の膝は大好きです。上がってくると自分からは下りません。いつまでも飽きず、膝の上から読書に付き合っているかのようですが、その心の中には何がうつっているのでしょう。
抱っこ嫌いのみやでも一年中で一番家族の膝に来ることが多い季節です。膝の上以外では、みやは最近よく居間のシクラメンの鉢のそばにいます。日当たりが良いので鉢を置いているのですが、もとより猫好みの場所ではあります。
ひたちはガラス戸越しにひなたぼっこ。どう覚えたのか、全面ガラスの重い戸を上手に開けて濡れ縁に出られるようになりました。みやにはできないことでひたちができる数少ない技です。体重が必要なのかも知れません。
濡れ縁には風が当たらず日がよく当たって、格好の遊び場ですが、気儘に遠くまでお出かけされては心配なので、家族が付ききりの時以外はひなたぼっこの戸も鍵を掛けています。
ダイブスリムニナッタデショ。体重ハ 変ワラナイケドネ。背ガ伸ビテルンダヨー。ゴハンは減ラサナクテ イイト思ウヨー。
陽だまりのシクラメンに、みやは時々思いついたように噛みつこうとします。止められると我に返るみやですが、ひたちの場合は悲しいのか部屋を出て行って廊下でぼやきます。「ニャオニャン、ニャイニャー、ニャイヨー...」
そして廊下の切り花を囓っていたのはひたちだとわかりました。
家族が見ていない時、シクラメンはさぞかし心細いことだろうと思います。
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