2009年12月18日

漂泊の暮れ


8朝翡翠.jpg                                  翡翠 早朝 21.12.8 東京都清瀬市

  まだ日の光も射さず、しんと冷え切った朝の空気の中、6時を過ぎる頃になると、たぬきち君は決まって庭に現れます。御町内の、二ブロックほど離れた所にあるM原さん宅の飼い猫と見当はついたのですが、しかしなぜこう毎日なのでしょう。それも長い時間です。泊まって行く夜もあるようです。まさか、家出しているわけではないでしょうね。たぬきち君は、もちろん説明はしないのでした。

    
たぬきっちゃん.jpg   網戸越しに撮るので、写りがよくありません。
   顔は可愛いものの、相変わらず無愛想。
   毎朝"おはよう"の声をかけますが、ジロッと見るだけ。
                  お家に帰りなさいね、M原たぬきち君


  そもそも猫は気儘な生きものです。好きなところで好きなことをして遊んで一日過ごすのでしょう。飼い猫を家族と思って気にかけているのは案外人間の方だけで、猫はただその時同居しているだけのつもりなのかもしれないな、と思うことがあります。

    
500みや.jpg   
ヒタヒタ寝2.jpg          マタ 来テルッテ  ア  ソウナノ。 モウチョット寝ルネー

  知り合いのFさんのお宅には、現在二匹の猫がいます。そのうちの一匹は、もとははす向かいのお宅の飼い猫だったのだそうです。どういうものか、F家の主人を気に入って、お仕事に行く時はついて行ける所まで見送り、帰りは待ちかまえていて玄関まで同道するという日が続き、お休みの日は庭先から御主人の寛ぐお部屋に上がり込み、半(なか)ら一日を過ごし、夜、本宅の御心配を気にするF夫人に外に出されるまで帰らない。そんな入り浸りが半年あまりも続いたある日、はす向かいのお宅から「できることなら飼ってやってくれないか」という申し訳なさそうな申し出があり、大量の持参金(鰹節やキャットフードやらの猫御飯)付きで円満に移籍したのだということです。

    
mmimimi.jpg    

         
  見込まれてしまったF氏も"なぜ"との思いでしょうが、猫に出て行かれたお宅の気持ちは複雑なものであろうと思います。

  きちんと、しかも円満に移籍の手はずを運んだ様子からは、猫家族に決して冷たいお家ではなかったと思われます。可愛がっているのに、その猫がもっと気に入った場所ができて、出て行くという。家族として寂しく、やりきれない気持ちになったとしても不思議はありません。それでも、考えてF家にお願いに行ったのは、猫の気持ちが向こうにある以上どうしようもなく、結局その猫の幸せを思ってのことだったのでしょう。

    
ヒタ鉄板.jpg                  オ手伝イ シヨウカー
      焼けちゃうよ
    
  フランスの近代詩に、"多く愛する者の方が、いつも多く傷つくのだ"という意味の詩句がありました。学生の頃に人に教えられ、今も心に残っていますが、ずっとその出典を確かめられないままでおります。ですから詩全体が表す心は分からないとはいえ、悲しい恋の詩に違いないのですが、この詩句は恋愛に限らず愛情の問題すべてに通じるように思われます。愛する者のためにわが心を殺して引き下がるのは、愛を得るために死にもの狂いに前進するのより、きっと苦しいものだろうと思います。

               
6鴨霧.jpg                                            21.12.6 東京都清瀬市

  さて、そうこうするうち、今年もついに来ました、みやとひたちに動物病院からのお知らせが。

yobidshi.jpg


 
キャビふたり2.jpg       ナニ?             ナニ?
         チューシャ  トカ?         チューシャ?
  
キャビふたり1.jpg
        マサカ  オ医者サン?        オ医者サン?
                           大キイ犬ガ  居ルヨネー 

         ソレドコロジャナイデショ        ソウナノ?     


  年の残りもわずかですが、また嵐の予感。本当に気忙しい気分に拍車が掛かることです。皆さまもお忙しい暮れを、どうぞお大切に。




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