2008年4月15日

墨場必携:和歌 「万葉集」1424...

[和歌]

・春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ
 野をなつかしみ一夜[ひとよ]寝にける  
           「万葉集」1424(「古今集仮名序」に山部赤人作と)

・茅花[つばな]抜く浅茅[あさぢ]が原のつぼすみれ
 今盛りなり我が恋ふらくは  
           「万葉集」1449 大伴田村家大嬢


              ツボスミレ 20.4.4 東京都清瀬市

・春の野に咲けるすみれをてに摘みて
 吾がふるさとをおもほゆるかな
                  良寛

・つぼすみれ咲くなる野辺に鳴く雲雀[ひばり]
 きけどもあかず永き春日に
                  良寛

・すみれさく山の中道
 むらさきのとばりのうちをゆくここちして
                  比田井小琴


            タチツボスミレ 20.4.4 東京都清瀬市

・物部[もののふ]の八十娘子[やそをとめ]らが汲みまがふ
 寺井[てらゐ]の上[うへ]の堅香子[かたかご]の花
           「万葉集」4143 大伴家持

・さくらちる花の所は春ながら
 雪ぞふりつつ消えがてにする  
             「古今和歌集」75 承均(そうく)法師

・久方のひかりのどけき春の日に
 しづ心なく花のちるらむ  
           「古今和歌集」84 紀友則

・さくら花ちりぬる風のなごりには
 水[みづ]なきそらに浪ぞたちける 
             「古今和歌集」89  紀貫之

・いつまでか野辺に心のあくがれむ
 花しちらずは千世[ちよ]もへぬべし
              「古今和歌集」96 素性

・ぬれつつぞ強ひて折[を]りつる年の内に
 春は幾日[いくか]もあらじと思へば
           「古今和歌集」133 在原業平
◎詞書に「弥生の晦日の日(三月末日)、雨降りけるに、藤の花を折りて
 人につかはしける」とある。
 藤は初夏の花に扱われることが多いが、『古今集』の頃までは晩春の歌
 にも多い。春夏に渡る花。

・けふのみと春をおもはぬ時だにも
 立つことやすき花のかげかは
         「古今和歌集」134(春の巻末歌) 凡河内躬恒

・いたづらにすぐす月日はおもほえで
 花見てくらす春ぞすくなき   
         「古今和歌集」351 藤原興風

・起きもせで寝もせで夜を明かしては
 春のものとてながめくらしつ
         「古今和歌集」661 在原業平


          菜の花 20.3.27 清瀬市野塩明治薬科大学

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