墨場必携:漢詩 富士山・新年
・富士山 室鳩巣
上帝高居白玉臺
千秋積雪擁蓬莱
金鶏咿*人寰夜 *口偏に「屋」
海底紅輪飛影来
上帝高居[こうきよ]す白玉臺[はくぎよくだい]
千秋の積雪蓬莱を擁す
金鶏咿*[いあく]するも人寰[じんかん]は夜
海底の紅輪[こうりん]飛影来
天帝の住まいである白玉の臺(うてな)
千年降り積もった雪が蓬莱宮を覆っている。
天上の金鶏が鳴いても人の世はまだ夜
この頃太陽は紅い輪をめぐらすように海の底から光を飛ばしてやって来る。
20.12.28 東京都清瀬市より望む富士山
・富士山 石川丈山
仙客来遊雲外嶺
神龍棲老洞中淵
雪如紈素煙如柄
白扇倒懸東海天
仙客来たり遊ぶ雲外の巓[いただき]、
神龍棲み老ゆ洞中[どうちゆう]の淵。
雪は紈素[がんそ]の如く煙は柄[え]の如し、
白扇倒[さかし]まに懸[か]く東海の天。
雲の外にある巓(いただき]は仙人の来たり遊ぶ処、
洞穴の奥の深い淵は年を経た龍の棲み処。
降り積もった雪は紈素(しらぎぬ)、立ち上る煙は柄のよう、
東の海の空に白扇を逆さに懸けたたようである。
・偶題 荻生徂徠
昔道長安似弈棊
請看今世亦如之
何知老拙都無事
歳去歳来徒詠詩
昔道[い]ふ長安は弈棊[えきき]に似たりと
請ふ看よ今の世も亦た之[かく]の如きを
何ぞ知らん 老拙都[す]べて事無く
歳去り歳来たりても徒[いたづ]らに詩を詠むのみ
昔長安は碁を打つに似たものだと言った人がいた。
看たまえ今の世も同じようなものである。
知ったことか 、この老人が毎日何の事もなく、
旧い歳が去り新しい歳が来てもただ徒らに詩を詠んでいるだけであるのを。
20.12.29 東京都清瀬市
上帝高居白玉臺
千秋積雪擁蓬莱
金鶏咿*人寰夜 *口偏に「屋」
海底紅輪飛影来
上帝高居[こうきよ]す白玉臺[はくぎよくだい]
千秋の積雪蓬莱を擁す
金鶏咿*[いあく]するも人寰[じんかん]は夜
海底の紅輪[こうりん]飛影来
天帝の住まいである白玉の臺(うてな)
千年降り積もった雪が蓬莱宮を覆っている。
天上の金鶏が鳴いても人の世はまだ夜
この頃太陽は紅い輪をめぐらすように海の底から光を飛ばしてやって来る。
20.12.28 東京都清瀬市より望む富士山
・富士山 石川丈山
仙客来遊雲外嶺
神龍棲老洞中淵
雪如紈素煙如柄
白扇倒懸東海天
仙客来たり遊ぶ雲外の巓[いただき]、
神龍棲み老ゆ洞中[どうちゆう]の淵。
雪は紈素[がんそ]の如く煙は柄[え]の如し、
白扇倒[さかし]まに懸[か]く東海の天。
雲の外にある巓(いただき]は仙人の来たり遊ぶ処、
洞穴の奥の深い淵は年を経た龍の棲み処。
降り積もった雪は紈素(しらぎぬ)、立ち上る煙は柄のよう、
東の海の空に白扇を逆さに懸けたたようである。
・偶題 荻生徂徠
昔道長安似弈棊
請看今世亦如之
何知老拙都無事
歳去歳来徒詠詩
昔道[い]ふ長安は弈棊[えきき]に似たりと
請ふ看よ今の世も亦た之[かく]の如きを
何ぞ知らん 老拙都[す]べて事無く
歳去り歳来たりても徒[いたづ]らに詩を詠むのみ
昔長安は碁を打つに似たものだと言った人がいた。
看たまえ今の世も同じようなものである。
知ったことか 、この老人が毎日何の事もなく、
旧い歳が去り新しい歳が来てもただ徒らに詩を詠んでいるだけであるのを。
20.12.29 東京都清瀬市
【文例】 和歌へ