2008年9月15日

墨場必携:漢詩 はつ秋 佐藤春夫...

【文例】
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[漢詩]

・はつ秋     佐藤春夫

      白藕成花風己秋
      不堪残睡更回頭
      晩雲帯雨帰飛急
      去作西窗一枕愁
           王氏女
  白蓮咲きて風は秋
  ねざめ切なく見かへれば
  雲あしはやき夕ぞらの
  夜半や片しく袖に降るらん
              『車塵集』所収

・秋の鏡     佐藤春夫
 
      億昨花前別
      秦淮水又秋
      朝来怯臨鏡
      孤影空自愁
          趙今燕
  別れしは昨[さぞ]、花さく日
  いま秦淮の水は秋
  朝[あした]うたてきかがみには
  わが面かげぞいたましき
              『車塵集』所収

・雑興      佐藤春夫

      万物各有事
      蟋蟀以秋鳴
      我老自少眠
      那得憎此声
          游陸
  ものなべてみな時あれば
  秋にしてこほろぎ鳴くを
  われ老いて眠[いね]がてぬとも
  いかなれば憎むべきかは
              『玉笛譜』所収


                     20.9.4 東京都清瀬市

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