墨場必携:漢文 「立春日書懐呈芸閣諸文友」
21.2.1 東京都小金井市小金井公園
・立春日書懐呈芸閣諸文友 藤原篤茂
池凍東頭風度解
窓梅北面雪封寒
『和漢朗詠集』2
池の凍[こほり]東頭[とうとう]は風度[わた]つて解く。
窓の梅[むめ]北面[ほくめん]は雪封[ふう]じて寒し。
池に張りつめた氷も東岸は、立春の今日、東風が吹き渡って解け始めた。
窓の外の梅の枝は、北側はまだ雪が封じ込めていてなお寒い冬景色だ。
・人日立春[じんじつりつしゆん] 晩唐 羅隠
一二三四五六七
万木生芽是今日
遠天帰雁払飛雲ぉp;;
近水遊漁迸氷出
一二三四五六七[いちにさんしごろくしち]
万木[ばんぼく]芽を生ずるは是れ今日[こんにち]
遠天[えんてん]の帰雁[きがん]雲を払つて飛び
近水[きんすい]の遊漁[いうぎよ]氷を迸[ほとばし]つて出づ
新年の一日、二、三、四、五、六日と過ぎて七日になった、
あらゆる木々が芽を吹くのはこの立春の今日だ。
遠い空を、北へ帰る雁は雲を払って飛んでゆき、
近くの川で、うれしげな魚はゆるんだ氷を突き破って水面に跳ねる。
※人日:陰暦一月七日
21.1.16 東京都清瀬市
・寒梅 明治 新島襄
庭上一寒梅
笑侵風雪開
不争又不力
自占百花魁
庭上[ていじよう]の一寒梅[いちかんばい]、
笑つて風雪を侵して開く。
争はず又[また]力[つと]めず、
自[おのづか]ら百花[ひやくくわ]の魁[さきがけ]を占む
庭先の一本の梅の木、
風雪にまけず、笑うがごとく花開く。
競うのでもなく、また努めるのでもなく、
それでいて、おのづから多くの花の先駆けとなっている。
【文例】 和歌へ