墨場必携:訳詞・近現代詩 菩提樹...
[訳詞・近現代詩]
・菩提樹 訳詩 近藤朔風
泉に沿ひて 繁る菩提樹
慕ひゆきては うまし夢見つ
幹には彫[ゑ]りぬ ゆかし言葉
うれし悲しに 訪[と]ひしそのかげ
今日[けふ]もよぎりぬ 暗き小夜中[さよなか]
真闇[まやみ]に立ちて 眼[まなこ]とづれば
枝はそよぎて 語るごとし
「来[こ]よ いとし侶[とも] ここに幸[さち]あり」
面[おも]をかすめて 吹く風寒く
笠[かさ]は飛べども 棄[す]てて急ぎぬ
はるか離[さか]りて 佇[たたず]まへば
なほも聞ゆる「ここに幸あり」
はるか離りて 佇まへば
なほも聞こゆる「ここに幸あり」
「ここに幸あり」
『女声唱歌』明治42年(1909).11月

・浜千鳥 鹿島鳴秋
1
青い月夜の 浜辺には
親を探して 鳴く鳥が
波の国から 生まれ出る
濡れた翼[つばさ]の 銀の色
2
夜鳴く鳥の 悲しさは
親を訊ねて 海こえて
月夜の国へ 消えてゆく
銀の翼の 浜千鳥
昭和7年(1932)
・菩提樹 訳詩 近藤朔風
泉に沿ひて 繁る菩提樹
慕ひゆきては うまし夢見つ
幹には彫[ゑ]りぬ ゆかし言葉
うれし悲しに 訪[と]ひしそのかげ
今日[けふ]もよぎりぬ 暗き小夜中[さよなか]
真闇[まやみ]に立ちて 眼[まなこ]とづれば
枝はそよぎて 語るごとし
「来[こ]よ いとし侶[とも] ここに幸[さち]あり」
面[おも]をかすめて 吹く風寒く
笠[かさ]は飛べども 棄[す]てて急ぎぬ
はるか離[さか]りて 佇[たたず]まへば
なほも聞ゆる「ここに幸あり」
はるか離りて 佇まへば
なほも聞こゆる「ここに幸あり」
「ここに幸あり」
『女声唱歌』明治42年(1909).11月

・浜千鳥 鹿島鳴秋
1
青い月夜の 浜辺には
親を探して 鳴く鳥が
波の国から 生まれ出る
濡れた翼[つばさ]の 銀の色
2
夜鳴く鳥の 悲しさは
親を訊ねて 海こえて
月夜の国へ 消えてゆく
銀の翼の 浜千鳥
昭和7年(1932)
