世界中でたくさんのアートフェアが開催されていますが、それらの中で、もっとも権威あるものの一つがスイスのバーゼルで開催される「アートバーゼル」です。
本拠地スイスだけでなく、パリやマイアミビーチ、香港でも開催されますが、その一つであるアートバーゼル香港に、比田井南谷の作品が展示されることになりました。
出展するのは「√k Contemporary」。
2022年から2023年に、比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」を開催してくださった現代美術画廊です。
アジア太平洋地域および中東地域における重要なアーティストやテーマを取り上げる「インサイト(Insights)」部門に、比田井南谷作品が個展形式で展示されます。
期間 2024年3月28日から30日
会場 香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)
アートバーゼル香港の紹介記事はこちら。
色彩にあふれた現代美術の中で、どのように受け入れられるでしょう。
作品64-29。
比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」では、会場正面に展示されていました。
あの「不思議な墨」の効果が最大限に活かされたダイナミックな作品です。
作品42。
1956年の作品で、第5回サンパウロ・ビエンナーレに出品されました。
この時代は油絵具をはじめとして多彩な用具用材が用いられましたが、この作品には、紙による転写の技法が使われています。
去年の個展のとき、京都芸術大学の特別講義『生誕110年「HIDAI NANKOKU」』で「印が墨の上にのっている」と話題になりました。
この講義は、当時は学生さんだけしか見られませんでしたが、今はどなたでも視聴できます。
講義のユーチューブはこちら。
作品79-5。
1979年の作品です。
伸びやかに書かれた上部に比べて、中央より下は複雑な動きを見せています。
書を知らない美術関係者に、このリズムの違いを理解していただけるのかどうか、興味があります。
これは不思議な動きのある作品です。
まくりのまま保存されていて、√kの個展で初めて発表されました。
1970年、万国博美術展「調和の発見」に展示された作品の別バージョンです。
二種類の古墨を磨りまぜた「不思議な墨」を使っていますが、運筆のスピードによって、いろいろな表情が生まれています。
香港といえば、2021年に開館したアジア最大級の現代美術館「M+(エム・プラス)」は、6点の南谷作品を収蔵しています。
昨年のコレクション展では、その中から、1964年の作品(463 × 350 cm)をメインスペースに展示してくださり、話題になりました。
臨書で鍛えた線による表現が、美術の世界にどのように受け止められるのでしょう。
南谷が渡米した時にはアメリカのメディアが取り上げ、MoMAはじめ一流の美術館が購入してくれましたが、今はどうかな?
楽しみなような、こわいような。。。。。