2009年3月 1日

墨場必携:唱歌・童謡 ひなまつり

         
江戸ひな人形.jpg                                   江戸ひな人形 東京都清瀬市郷土博物館蔵


 雛祭[ひな]の宵    作者不明

   ぼんぼりに灯を 入るるとて 
   電灯殊更 消すもよし 
   瓔珞[やうらく]ゆれて きらめきて 
   物語めく 雛祭[ひな]の宵

   十二一重の 姫君の 
   冠少しく 曲がれるを
   直すとのべし 手の触れて
   桃の花散る 雛祭の宵

   官女三人[みたり]の まねすとて 
   妹まじめの 振舞[ふるまひ]に
   加はりたまふ 母上の
   えまひ(笑まひ)うれしき 雛祭の宵


 ひなまつり    海野厚

   ひももの花にお白酒
   あられ草餅緋毛氈
   おひなさまのお祭りに
   皆様おまねきいたしませう

   五人囃子のおはやしに
   官女の舞の美しさ
   前ぢやみんなで賑やかに
   お琴をひいたり歌つたり

   遊んでやがて日が暮れりや
   お内裏様もおさみしい
   早くおあかり點もしませう
   おぼろおぼろの雛段に

   楽しいたのしい夜が更けて
   外はほんのりお月さま
   薄桃色のぼんぼりに
   ねむりやきれいな夢ばかり


 雛祭    文部省唱歌
      『新訂尋常小学唱歌 第五学年用』昭和8年(1933)

 1 お行儀正しい内裏さま、
   赤い袴の官女たち、
   五人ばやしが次次と、
   きれいに並ぶ壇の上、
   雪洞[ぼんぼり]つけて、坐[すわ]つて見れば、
   金の屏風がきらきらと、
   夢のお国の御殿[ごてん]のやうに。

 2 赤い毛氈美しく、
   菱のお餅にお白酒、
   お菓子・豆いり、いろいろと、
   きれいに並ぶ壇の上
   花瓶にさした緋桃の花も、
   半[なか]ば開いて、にこにこと、
   お伽噺[とぎばなし]のお家[うち]のやうに。


 ひなまつり   林柳波

   赤いもうせん しきつめて
   おだいりさまは 上のだん
   きんのびやうぶに ぎんのだい

   五人ばやしや 官女たち
   そろつてならぶ 下のだん
   どれもきれいな おひなさま

   あられひしもち おしろざけ
   ぼんぼりかざる おもしろさ
   けふ(今日)は三月 ひなまつり


 ひなまつり    水谷まさる

   赤い雛壇[ひなだん]金びやうぶ
   咲いてにほふは桃の花
   あれあれにつこりお雛さま

   甘い白酒お豆いり
   見るもきれいな雛料理
   あれあれにつこりお雛さま

   今日はたのしい雛祭
   昔ながらのお祝ひ日
   あれあれにつこりお雛さま


 うれしいひな祭り   サトウハチロー

   あかりをつけましょ ぼんぼりに
   お花をあげましょ 桃の花
   五人ばやしの 笛太鼓
   今日はたのしい ひな祭り

   お内裏様[だいりさま]と おひな様
   二人ならんで すまし顔
   お嫁にいらした 姉様[ねえさま]に
   よく似た官女[かんじょ]の 白い顔

   金のびょうぶに うつる灯[ひ]を
   かすかにゆする 春の風
   すこし白酒[しろざけ] めされたか
   あかいお顔の 右大臣

   着物をきかえて 帯しめて
   今日はわたしも はれ姿
   春のやよいの このよき日
   なによりうれしい ひな祭り

        
20sakur.jpg                                         河津桜21.2.20 東京都清瀬市


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