2009年3月 1日

墨場必携:散文

・正月一日、三月三日はいとうららかなる。五月五日は曇り暮らしたる。
                     『清少納言枕草子』第10段
 ※陰暦五月はおおかた梅雨に重なり、天候は悪い。


・弥生になれば、空のけしきもものうららかなり。
                     『源氏物語』柏木


・三月の十日のほどなれば、空もうららかにて、人の心ものび、
 ものおもしろき折なり。
                     『源氏物語』絵合


・三月の十日なれば花盛りにて、空のけしきなどもうららかにものおもしろく、
 仏のおはすなる所のありさま遠からず思ひやられて、ことなる深き心もなき
 人さへ罪を失ひつべし。
                     『源氏物語』御法


・桃の節句に近く各地に雛市開かる。東京の十軒店[じっけんだな]は古くより
 聞こゆ。雛のごとく美しき児の目につくはこの頃なり。人形天皇の御宇の華や
 かさは漸[やうや]く表れ来たれるなり。日麗らかにして、大路の青柳の糸
 次第に伸ぶ。
                  『自然と愛』(金子薫園)より抜粋
 ※人形天皇:内裏雛人形天皇の御宇とかや 芭蕉

         
19紅梅.jpg                                       紅梅 21.2.19 東京都清瀬市



【文例】 唱歌・童謡

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