1957年8月、日本前衛書作家協会が設立されました。
選出された委員は井上有一、池田水城、上田桑鳩、宇野雪村、岡部蒼風、小川瓦木、小林龍峰、香川春蘭、武士桑風、関谷義道、千代倉桜舟、萩原冬珉、中島邑水、比田井南谷、森田子龍の15名。
メンバーを見ると、奎星会、現代書作家協会、東洋書芸院、布穀会、墨人会など、現代の前衛書を代表する団体の創設者が揃い、また後に書道芸術院の前衛書部門を率いる作家も加わっています。
まさに、前衛書草創期の熱気を今に伝える展覧会だと言えるでしょう。
創立総会は1957年8月10日、東京都美術館仮講堂で開催されました。
出席者は約70名、司会は井上有一です。
萩原冬珉の開会の辞、比田井南谷の経過報告、小川瓦木の趣意説明と続き、うだるような熱気の中で意見百出、延々4時間にわたる会議でした。
懇親会です。
女性の姿も見えますね。
2024年1月4日(木)から20日(土)まで、銀座の永井画廊で開催される「日本前衛書作家協会に注目」展は、上記15名の委員の中で、ご遺族の賛同をいただき、かつ、当時の作品を展示できる作家9名による展覧会です。
これに先立つ1956年から4回にわたり、比田井南谷が企画した「比田井天来記念前衛書展」が開催されました。
第1回展は「比田井天来の線(フォトモンタージュ)」を始めとして、上田桑鳩、金子鴎亭、比田井南谷、比田井小葩の作品が展示されました。
第2回展は、上田桑鳩、宇野雪村、岡部蒼風、金子鴎亭、武士桑風、森田子龍、そして南谷と小葩が出品しています。
日本前衛書作家協会は展覧会を開催しませんでしたが、第4回天来記念前衛書展(1959年)の会場風景が残されていますので、ご紹介しましょう。
左と中央は上田桑鳩、右は宇野雪村。
左2点は森田子龍、その右は萩原冬珉、右の壁面は比田井南谷です。
左3点は岡部蒼風、次の3点は小川瓦木、右の2点は武士桑風。
前衛書草創期の意欲作が並んでいます。
「日本前衛書作家協会に注目」展では、シンポジウム「現代書を語る」が企画されています。
日時 1月4日(木)19:00〜21:00
会場 千代田区立日比谷図書文化館 B1コンベンションホール(大ホール)
定員 200名・参加費無料
事前申込が必要です。
電話03-5545-5160 メールinfo@nagai-garou.com
シンポジウム概要
松岡正剛(編集工学研究所所長・角川武蔵野ミュージアム館長)
日本美術史、日本書史から見た“現代書”について
秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)
金沢21世紀美術館で企画開催された“生誕100年井上有一展”より“井上有一論”を中心に現代アートと“現代書”について
尾崎信一郎(鳥取県立美術館整備局美術振興監・鳥取県立美術館館長予定者)
ご著書“戦後日本の抽象美術‐具体・前衛書・アンフォルメル‐”より抽象美術と“現代書”について
比田井和子(天来書院取締役会長・比田井南谷長女)
日本前衛書作家協会について
(比田井天来の思想や戦後前衛書の概要も短くご紹介するつもりです。)
司会 永井龍之介(永井画廊代表取締役)
シンポジウムは、できればライブ配信をしたいと思い、準備しています。
電波状態が少々不安なのですが、実現すれば久々の書道テレビ♫
また、終了後、編集した動画を永井画廊ホームページから見ることができるそうです。
定員になり次第、締切となりますので、興味のある方はお早めにどうぞ。
「日本前衛書作家協会」については、比田井南谷オフィシャルサイトのレポートで詳細を知ることができます。