2008年4月 1日

墨場必携:散文 自然界で、花ばかりは...

[散文]

・  自然界で、花ばかりは常によいもので、決して悪い扱いを受けないことを考えると、どんな人も花を愛さずにはいられない。(中略)何かにつけて私ども の暮らしに加わり、ミサにも行くし、舞踏会にも行く。公共の生活の中では広場や記念像を飾るし、あらゆる権力を神聖なものにする。王権、民主いずれの主権 も花無しにすませたためしはなく、時にはパンも買えない人たちが花を買う。花は不幸な人たちにとっては幸福そのものである。                            (バルザック)


・  花よ、苦しみに押しつぶされることの多い人の世に、お前は何という素晴らしさを産み出してくれたのだろう。私どもの国語にかくも多くの言葉で美しく してくれた花よ、お前を尊ぶ心はサビニ人のうちに現れ、ローマに移入され、そこではお冠を戴いた若いニンフの姿で表された。それをことほいで、春になると 歌と踊りで花のまつりを行った。いつの時にも素朴にあるいは豪華に、お前は崇拝のもととなった。
                      『緑の日射し』(ティード・モニエ)


・すべての人は野の花の如し、草は枯れ、花はしぼむ。   (『聖書』イザヤ書)


・夫人は朝から日暮れまで、野の草のように過ごされた。あなた方は、朝には彼女が如何に優雅に花咲いたかを御存知であるが、夕べには彼女が枯れしぼむのを見られたのである。       「アッンリエット・ダングルテールのための弔辞」(ボシュエ)


                    20.3.27東京都清瀬市

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