比田井小葩(1914〜1972)は、1948年に比田井南谷と結婚。

独特の抒情的な書風は、書壇でも注目を集めました。

「隊長、私(詩)的に書を語る」は、息子、比田井義信(1953年生まれ)が母を回想しながら、小葩の書を語ります。

比田井小葩オフィシャルサイトはこちら

 

 

かたまって

うすきひかりの

すみれかな

 

渡辺水巴の代表的な句です。

千葉県の鹿野山で詠まれたもので山頂に句碑が建っているそうです。

 

よく評で、

野生のすみれはほとんどが濃い紫色で、かたまって咲いているのならなおさら濃くなるのに、うすきひかりのと詠んでいる。

などといわれているようですが、野生のすみれの咲いている場所をご存じないようで、木漏れ日のはいるうすきひかりの目立たないところに、まあこんなに沢山寄り添いながらすみれが、と詠んでいるのではないのかなと思いませんか?

 

比田井小葩はあまりたっぷりと墨をつけず、あまりすらすらと筆を運ばずに、厳しい環境で育つ野生のすみれに対する愛しさをうまく表現していると思います。

 

母は、以前みんなで旅行に行ったときに、野生のすみれが群生している場所に行き当たったことがあって、その一番端っこではみだしたような小さな一輪をそっと掘って持ち帰ったことがありました。(ごめんなさい)

でもその泥付きのすみれを、ハンドバッグからレースのハンカチを取り出すと、躊躇せずにつつんでしまいました。

その一輪は、それから何年もかかって庭の隅の木漏れ日の下で、かたまってうすきひかりの状態になりました。

 

また、女流書家のみなさんと旅行に行って来た時に、海岸に群生していたハマダイコンの根っこを持ち帰り、それも何年か後には庭で薄紫の花をたくさんつけるようになりました。

 

やっぱりうすむらさきが好きだったのですね。

 

 

 

小葩の旅の写真を探してみたら、こんなスナップを見つけました。

どこか温泉に行ったのでしょう。

左から堀桂琴先生、小葩、天野翠琴先生。

比田井小琴のもとで、共に「かな書道」を学んだ方々と女子会です。

楽しそうですね