孟法師碑 天来の臨書
昔、母が横浜で書道を教えていたときがありました。最初に習うのは「天来臨孟法師碑」と決まっていました。小さいお子さんも、これだとすばらしくのびのびと、上手に書けるのです。
比田井南谷は、こう解説しています。
天来は孟法師碑をたいへん好んで、壮年から晩年にいたる、何通もの臨書が残っており、平生初心者にこれを習うことをすすめ、わたくしたち子どもにも、第一に習わせた。
最初はこんな感じ。
至人無己。至人とは偉大な聖人という意味です。色紙に書いてもいいかも。
もう一つ。
南谷は「凛冽」と評し、「豪快な筆をもって臨し、原碑よりさらに厚みのあるものとした」とも言っています。
臨書のための古典を復元した「テキストシリーズ」は53冊ありますが、売れるものと売れないものとの差が甚だしいのです。この「孟法師碑」は、「九成宮醴泉銘」などと比べると、あまり売れません。でも、こんな風に臨書すると気持ちのよいものです。なんだか字がかたくなってしまった時など、ぜひ臨書してみてください。