台湾嘉義市立美術館で、台湾と日本の書道連合展(台湾嘉義市政府主催)が開催されています。

 

タイトルは「天鶴天来翠嘉邦ー台日書法連合展覧」。

「天鶴天来翠嘉邦」は「天鶴(陳丁奇)・(比田井)天来・(桑原)翠邦」の意味です。

陳丁奇先生の生誕110年を記念して、陳丁奇先生門流の甲子書会と、比田井天来門流の桑原翠邦先生が創設した書宗院が協力して、この度の展覧会となりました。

台湾嘉義市立美術館のホームページはこちら

 

まずは、比田井天来と台湾の交流についてご紹介しましょう。

 

比田井天来は「書学院」建設と古典書道普及のため、生涯にわたって各地を旅行しました。

台湾は三回訪れています。

とくに1935年には、212日から323日までの長期間滞在し、全島を回って講演や揮毫をしました。

同行した妻、小琴の旅日記『たびかがみ』「たかさご島のおもひ出」には、旅で詠んだ和歌や歓迎運動会のスナップ写真などもあり、旅の様子を知ることができます。

 

上の写真左は、北投無名庵の庭で木に登った天来。下は総督邸貴賓館でのスナップ。

は台北の大津鶴嶺氏が開催した歓迎運動会です。

ちなみに天来は提灯競争に出場し、3位でした(右ページ左上のスナップ)。

楽しいことが大好きだった天来。

あたたかいおもてなしを受け、台湾旅行を満喫した様子がうかがえます。

 

『たびかがみ』「たかさご島のおもひ出」の初回はこちら

11回までありますので、画面右下の「次回へ」をクリックして次に進んでください。

 

そしてこのときに、天来に随行し、墨を磨ってくださったのが陳丁奇先生なのです。

先生は比田井天来の「天」と田代秋鶴の「鶴」をとって「天鶴」と号されました。

天来と日本の書道を深く愛し、台湾書道界を牽引して、書の普及に大きな足跡を残された方です。

陳丁奇先生のご門下、李郁周先生が代表をつとめるのが甲子書道会。

天来の思想が、今も台湾で生きているのはとても嬉しいことです。

 

 

ポスター裏面の文章からもわかるように、甲子書会と書宗院の方々の作品以外に、物故者作品も42点展示されています。

 

陳丁奇先生の作品。

 

比田井天来、小琴、南谷(空海の飛白「十如是」の臨書)。

 

最後に、今回の書道展実現のために尽力された台湾甲子書会代表の李郁周先生と、書宗院理事長高橋蒼石先生の作品です。

 

展覧会は2月28日まで開催されます。

 

ちなみに昨年開催された「第9回比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展」では、甲子書道会の邱尉庭さんが市長賞を受賞しました。

これからが楽しみです。

展覧会を拝見できなくて、本当に残念ですが、これからの台湾と日本の交流がさらに深まっていくことを確信しています!

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