明日、7月2日(金)から、東京都美術館で、第65回書宗院展が開催されます。

特別展示は「書学院蔵古碑帖拓本と名家の臨書展・Ⅱ」。

有名な「書学院本雁塔聖教序」や、呉大澂から日下部鳴鶴に贈られた金文拓本「墨皇帖」をはじめ、龍門造像記、鄭道昭題字、開通褒斜道刻石、楊淮表紀などが展示される予定です。(変更の可能性あり)

珍しいものでは、松方海東(正義)の臨書も展示されます。(本邦初公開)

 

併催行事として、来る7月4日(日)午後3時30分から、東京都美術館講堂で講演をすることになりました。

どんな内容になるのか、少しだけご紹介したいと思います。

 

講演「古碑帖と臨書」

かつては、字が上手になるために、先生のお手本を習いました。

現在は、古典の臨書が学書の基本です。

なぜ臨書をするのでしょう。

臨書の意味はどこにあるのでしょう。

比田井天来の思想を中心に、臨書のありかたを考えます。

 

続いて、スライドを使ってお話します。

 

①墨皇帖

日下部鳴鶴は1981年、53歳のとき中国へ行き、呉大澂、兪曲園、楊見山、呉昌碩等と交流しました。

その後、呉大澂から鳴鶴に、金文拓本が贈られました。

それが「墨皇帖(ぼっこうじょう)」です。

 

呉大澂(ごたいちょう)自筆の目録です。

 

一枚ごとにタイトルや解説を書き込み、押印しています。

美しいものです。

 

 

②書学院本雁塔聖教序

「蝉翼拓(せんよくたく)」と呼ばれる淡い調子の鮮明な拓本です。

天来といっしょに研究をしていた松田南溟(なんめい)が、拓本の剪装と製本を行いました。

天来が新しい筆法を発見した端緒となった拓本として知られています。

金と朱の圏点が見られます。

実際の碑面はどうなっているのか、検証します。

 

③仙人の棲む山

この内容は、本番まで秘密です。

 

④比田井天来と門人の臨書

 

 

上は比田井天来の「天来習作帖」(昭和5年59歳)です。

それぞれの古典の特徴を捉え、書き分けています。

 

では、天来生存中の門下の方々は、どのような臨書を残したでしょう。

 

上田桑鳩臨「黄庭経」 昭和5年31歳

 

左から、手島右卿臨「光明皇后楽毅論」 昭和12年・36歳

金子鷗亭臨「左繍序」 昭和8年・27歳

桑原翠邦臨「皇甫誕碑」 昭和4年・24歳

 

比田井南谷臨「王羲之尺牘」 昭和12年25歳

 

それぞれ、古典に忠実で穏やかな臨書です。

 

昭和14年に比田井天来没。

その後、門下の臨書はどのように変わったでしょうか。

 

上田桑鳩臨「孫過庭草書千字文」 67歳

折帖を墨で塗りつぶし、あざやかな顔彩を使って書いています。

 

左から桑原翠邦臨「書譜」65歳 臨「魯孝王刻石」54歳 臨「金文」60歳

 

金子鷗亭臨書六幅 左から臨「麻姑仙壇記」「倪寛讃」「孔子廟堂碑」「化度寺碑」「賀蘭汗造像記」「中岳嵩山霊廟碑」

 

手島右卿臨「蘭亭序」52歳

 

比田井南谷臨「呉大澂篆書論語」41歳

あまりメジャーではないので、右に原本を掲げました。

 

さて、以上は20世紀のお話です。

21世紀の臨書はどうなっていくのでしょう。

 

当日はどなたでも参加できます。

事前申し込み不要です。

秘密の「③仙人が棲む山」では、豪華景品つきのクイズを出す予定です。

ふるってご参加ください。

 

お待ちしています。

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