今回から「古碑帖(こひじょう)の正確な見方」について連載することになりました。古碑帖つまり書道の古典を手本として習うことを臨書(りんしょ)と言いますが、その方法についての話です。書道の実技の勉強は直接
先週は古碑帖を正確に見るための三つの基本のうち、概形と補助線について説明しました。今回は文字の姿勢(傾き)についてお話します。三、文字の姿勢(傾き)について文字は普通、まっすぐ書く、つまり直立させて書
書法について書道にはいろいろな別名があり、小中学校では昔は習字とか書き方という科目名でした。近年では書写と称することになっているようです。一般には単に書ということがあり、また書法ということもあります。
結構すでに触れたように、結構というのは形の取り方のことです。用筆で決定した一点一 画をいかに組み合わせて一字を構築するか。第一回上、下回で説明した概形、補助線、姿勢(文字の傾き)の話は、実はこの結構に
筆画の交叉(こうさ)筆画が交叉したり接したりする場合、たとえば横画と縦画の交叉における左右、上下の長さの比率に注意して手本を観察する必要があります。次の「七」字では、第二画の縦画は横画の中央を通ってい
前回までは総論でした。今回から以降、各書体の名品を習う形式で手本の見方を具体的に説明してゆきます。扱う書体の順番は 第三回上下:楷書 第四回上下:楷書 第五回上下:行書 第六回上下:行書 第七回上下:
今回は前回練習した基本点画六字の結構(筆画の組み立て方)について短く説明し、それから同じ九成宮醴泉銘の連続した六字部分の練習に進みます。次の図版には結構をよく見るために概形、補助線を書き入れ、また注意
今回は前回取り上げた初唐の「九成宮醴泉銘」と並び称される虞世南書「孔子廟堂碑」を扱います。九成宮醴泉銘の立碑は貞観六年(632)、孔子廟堂碑の立碑は同二〜四年(628〜630)と全くの同時代です。両作
今回は孔子廟堂碑原本の中から連続した六字の部分を選び、拡大配列して半紙の臨書課題としました。臨書手本はパソコンのモニタだけではなく、スマフォやタブレットでも表示でき、ダウンロードしてプリントアウトする
今回は行書の名品として東晉の王羲之書「神龍半印本蘭亭序」を取り上げ、行書の書法の特質を探ってゆきます。行書は楷書に比べると、楷書の約束の上にさらに行書独特の約束が加わり、用筆、結構、章法いずれも自由
今回は神龍半印本蘭亭序から連続する六字の部分を選び、拡大して半紙六字書きに構成した手本を学びます。練習後、手本および練習作品の各文字に概形を書き入れ、自分の気になるところに補助線や点を記入してみると、
行書の二つ目の練習課題として、今回は平安時代初期の空海の「風信帖」を扱います。空海が最澄に送った手紙は三通が現存しており、下の図版はその第一通で、「風信雲書」で始まるところから風信帖と呼ばれています。
今回は空海の手紙「風信帖」第一通の中から、連続する六字を半紙六字書きに配列した手本を学びます。これは真言宗を開いた空海が天台宗の開祖である最澄に宛てた返信の初めの方に書かれた一節です。「兼恵止観妙門」
この連載では総論から始めて基本的な考え方をお話し、ついで楷書、行書の代表的な名品の学習を通して具体的な応用の仕方を説明してきました。第七回上下では初唐の孫過庭の「書譜」を、続く第八回上下では東晉の王羲
先週の宿題について考えることから始めます。問題は次の二つの「易」字図版を比較し、どこがどう違うかを考えるという主旨でした。片方は書譜から拾つたものであり、もう片方はそれをすこし改変し、一般に臨書者にあ
連載第五回上、下では王羲之の行書「神龍半印本蘭亭序」を学びました。今回は王羲之の草書「三井本十七帖」を取り上げます。十七帖の数多い異本の中で三井本と並び称せられるのが「上野本十七帖」で、上に両者の巻頭
王羲之の草書の名品「三井本十七帖」は全部で二十九通の手紙を収録しており、最初の一通がここでかじっているものです。「十七日」の三字で始まることから「十七帖」と呼ばれますが、この名称はまた全体の総称でもあ
書体は篆書、隷書、楷書、行書、草書の五体に大分されますが、このうち篆書、隷書、楷書は標準書体であり、行書、草書は補助書体です。隷書は時代的に篆書と楷書の両方にはさまれているだけに、その両書体の中間的な
隷書の書法につき、用筆(筆遣い)と章法(字配り)についてはすでに触れましたので、ここでは結構(字形の組み立て方)の説明が中心になります。概形が横長化する単体型、偏旁型、冠脚型の文字を一例づつ挙げます。
この連載は書法に関する総論から始め、それを各書体の代表的な作品を臨書するために、どのように利用すればよいかという説明をしてきました。そうしていよいよ篆書を扱うところに来ました。篆、隷、楷、行、草の五体
前二百二十一年に中国全土を統一した秦の始皇帝は、各地の霊山に登って天地をまつり、自分の徳をたたえる記念碑を建てます。その翌々年に山東省の泰山に建てられたものが泰山刻石であり、宰相の李斯(りし)の筆に成
はじめに 大学の書の専攻を卒業して以来、塾で教えたことはなく、ずっと学校の講師として書道(書写)を教えてきて、いつの間にか半世紀を越えました。学校での教え方は、1,全体説明によって基礎知識と考え方を