古碑帖の正確な見方

筒井茂徳(書法家)

第二回中「書法」その2

2020.11.23

結構すでに触れたように、結構というのは形の取り方のことです。用筆で決定した一点一 画をいかに組み合わせて一字を構築するか。第一回上、下回で説明した概形、補助線、姿勢(文字の傾き)の話は、実はこの結構に関わるもので、その観察の仕方をお話したのでした。そこでここでは違う角度から結構の問題を扱ってゆきます。なお今回の作例は、楷書は初唐の欧陽詢書「九成宮醴泉銘」および虞世南書「孔子廟堂碑」、行書は東晉の王羲之書「神龍半印本蘭亭序」また「集王聖教序」、草書は初唐の孫過庭書「書譜」から採っています。平行・等間隔と疎密楷書の重要な原則は筆画を平行に、かつ等間隔に配置することです。また筆画で囲まれた空間の広さ ・・・        

第二回上「書法」その1

2020.11.16

書法について書道にはいろいろな別名があり、小中学校では昔は習字とか書き方という科目名でした。近年では書写と称することになっているようです。一般には単に書ということがあり、また書法ということもあります。それぞれの呼び名には込められたニュアンスの相違がないではありませんが、この連載は臨書の技法について説明しようとするものですから、書法という言葉を使うことにします。書法は古くから「用筆」「結構」「章法」の三つに大分して論じられてきました。用筆というのは筆遣いです。用筆によって一点一画が出来ます。そして一点一画を組み合わせて一字が出来る。その組み合わせ方を結構と言います。結構という字面からうかがわれる ・・・        

第一回下「三つの基本」その2

2020.11.09

先週は古碑帖を正確に見るための三つの基本のうち、概形と補助線について説明しました。今回は文字の姿勢(傾き)についてお話します。三、文字の姿勢(傾き)について文字は普通、まっすぐ書く、つまり直立させて書くと思われています。しかし本当にそうでしょうか。ここでは楷書、行書の代表的な古典をのぞいてみましょう。楷書は初唐の欧陽詢書「九成宮醴泉銘」、行書は平安初期の空海書「風信帖」のそれぞれ部分です。それぞれの作品について、各文字の姿勢を注視してみましょう。文字ははたして完全に垂直に立っているように見えるでしょうか。それとも左下方、あるいは右下方に傾き気味に見えるでしょうか。1、文字の左右の中心に在る縦画 ・・・        

第一回上「三つの基本」その1

2020.11.02

今回から「古碑帖(こひじょう)の正確な見方」について連載することになりました。古碑帖つまり書道の古典を手本として習うことを臨書(りんしょ)と言いますが、その方法についての話です。書道の実技の勉強は直接的には古碑帖を臨書するほかありません。初心者にはとっつきにくい書道の古典を臨書するにはどのように手本を見ればよいか、これが私の話の中心になります。古典を臨書する目的はすぐれた技法を学び取ること、さらにはその作品の美的な精神をも吸収することです。そのためには古典そっくりに臨書しようと努めることが特に重要です。一方、手本の形にとらわれずに、筆意をくみとって臨書し、線質を鍛えることが大事だという考えもあ ・・・