書の中でもっとも身近で日常的なものと言えば手紙(尺牘)でしょう。自らの意をもっとも卒意に表現するという事からすれば、まさに第一級の書作品という事が出来ます。古来書の名品に尺牘が多いのも十分に頷けるところです。ITにその存在をおびやかされている昨今、多いにその復権を望まずにはいられません。
そのせいでしょうか、最近詩䇳(信䇳)が姿を消してしまいました。「十色薛涛䇳」や北京栄宝斎の「彩印信䇳」など、入手可能なものもありますが、かつての中国とは比較になりません。栄宝斎をはじめ九華堂、清秘閣、朶雲軒、十竹斎、麗華堂などの店があり、一流画家の絵を水印䇳にしたものや色染めした彩䇳など実に多種多彩でした。紙質も良く、見るだけでも楽しい世界ですが、小作品を書いたり、篆刻の印䇳としても用いられたりしています。
紙は木を材料とする貴重な資源であると言われています。それ故、書道は資源を無駄にしているという批判があります。さりとて昔のように新聞紙で練習という訳にもいきません。書道業界では反古紙再生の動きもありますが回収、脱色など採算の問題と紙の白さに難があります。とにかく大切にして欲しいものです。
また使用するには数年「ねかせる」事をお勧めしますが、保管には湿気のない所が基本です。シミや「カゼをひく」ことになりかねません。長期保存には包装用のガムテープのシミも要注意です。
使用する際は、あらかじめ包装を解き、全体をまるめ、風を通しておくとよいでしょう。
多くの紙に接し、書表現を拡げられる事を期待致します。
尚「画仙紙」は「雅䇳紙」「雅仙紙」「雅宣紙」「画宣紙」と表記は様々ですが、本画宣は「画宣紙」です。但し、加工紙の蝉衣䇳や仿古䇳などはすべて「䇳」で表記します。