北海道は比田井天来が愛した場所です。

 

たとえば、大正8年には、5月から11月まで北海道全道をまわります。同行した比田井雄太郎(後の田中鹿川)さんの手記によると、小樽、札幌、旭川、岩見沢、夕張、室蘭、苫小牧、帯広、釧路、根室、網走、美幌、留萌、函館へ行ったそう。今と比べて交通が不便なのに、すごいエネルギーです。

 

昭和11年の北海道旅行は、妻の小琴の旅日記「たびかがみ」に載っています。北海道大学のポプラ並木はこちら

 

忘れてはならないのは、天来のお弟子さんは北海道出身の方が多いこと。上の写真は札幌で撮影されたものですが、前列中央の比田井天来、小琴に続き、一人おいて、桑原翠邦先生、金子鷗亭先生、石田栖湖先生のお顔が見えます。(ほかにご存知の方が写っていたら教えてください)

早速フェイスブックで、関口皓方さんから情報をいただきました! 前列比田井小琴の左隣りは、石田先生の従兄弟の北海出版社社長の石田磊三さん、天来の左上は山口子羊先生だそうです。ありがとうございます!

 

ここで本題に入りましょう。

 

北海道大学の総合博物館で、「没後80年記念展 比田井天来 北海道大学総合博物館-書・拓本-所蔵コレクション」が開催されています。

 

会 期:2019年1月16日(水)~ 2月17日(日)

会 場:北海道大学総合博物館 1階企画展示室

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)、1/19・1/20臨時休館

備 考:入場無料

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北海道大学総長室蔵の天来書「六曲屏風」や、北大出身の札幌の書家・金津墨岱先生旧蔵(現・北海道大学総合博物館蔵)の貴重な拓本類、「孟法師碑」「鄭羲下碑」の半紙臨書(肉筆)の傑作などが公開されています。

会場写真を送ってくださったので、ご紹介しましょう。

 

右にあるのは、北海道大学総長室にある屏風です。DVD「現代書道の夜明け・比田井天来の生涯」でご紹介しましたが、実際に見ることができるのは初めてです。

この屏風、北海道大学のキャンパスにある「聖蹟記念碑」と関わりがありそうですが、年代などははっきりしていません。

 

すごいのは臨書です。孟法師碑の臨書は本邦初公開。私も初めて見ました。厚みのある渾淆な線による堂々としたもの。分量もありそうです。

 

こちらは鄭羲下碑の臨書。『学書筌蹄』と同時期に見えますが、これもすごい! 大発見です。

 

ツイッターの投稿には拓本も写っています。摩崖刻経のようですね。

 

これは有名な写真です。バックは泰山金剛経の緑拓。木簡(流沙墜簡でしょうか)を見ている比田井天来と小琴を囲んで、北海道から上京された若き桑原翠邦先生、金子鷗亭先生、三宅半遊先生が、じっと拓本や木簡に見入っています。

 

現代の書の始まりがここにある。そんな想いが広がる写真です。

書道