今回は箪笥(タンス)階段のリノベーションです。
住居に取り付けられている漆塗りの箪笥階段。約100年前に作られたという割には大きな傷みもなく、趣もありとても気に入っています。
ただ、踏み板の数枚に反れがあり上り下りするとガタつくのが気になっていました。漆が擦り減っている部分があったので、友達の職人に頼んで反りを修理し漆を塗り直してもらいました。
写真はリノベーション前です。

家主の話では1年に一度、年末の大掃除の際に踏み板を外して掃除していたとのこと。なんと廊下や和室の床板も全て釘で固定せずに大掃除の際に板を捲り掃除をしたそうです。
そうすることで、床下や柱の状態も確認出来てシロアリや獣の被害を最小限に抑えることにつながったんだとか。近年の住宅建築では到底考えられませんが、理由を聞いてみるとなるほど理に適っていますね。家を長持ちさせる先人の知恵なのかも知れません。
ちなみに、下の写真は踏み板を外した状態です。修理に出して以降、この状態で何度か階段を上り下りしていました。

踏み板の下に突起があり上から蓋をするような形状になっています。その為、普通に人が上り下りするのであれば板が外れることはありません。
7枚ある板を少し遊び心を入れて奇数は朱色、偶数は漆黒のコンビに塗り替えました。

写真は朱色の踏み板が1枚ずつグラデーションがかかっていますが、流石にそこまでは凝りませんでした。光の加減で色が変わって見えています。

職人としては完璧な輪島塗の仕上げをしたかったようですが、何分階段の踏み板につき人が上り下りすれば自然と擦れてきます。最終工程の上塗りをして表面の艶げを(呂色)すれば良いのは分かりますが、それに何十万円も投資はどうしたものか?艶げたら滑ってしまうのではないか?と心配もあり、中間段階にあたる中塗りの状態で引き渡してもらいました。板の反り、表面の傷や凹みも直してもらい綺麗に仕上げてもらいました。
それでも、踏み板に○○万円の投資となりました。

階段の上から見下ろすとピアノの鍵盤のようにも見えます。少しお洒落に見えませんか?今後は階段としての使用だけではなく、商品撮影時の展示台としての活用を考えています。漆黒の作品は朱の踏み板、赤い作品は漆黒の踏み板の上に乗せる予定です。

ギャラリーの目玉の一つとして投資効果を期待したいと思います(笑)。