製硯師 青栁貴史さん

2018年1月19日

今、硯が熱いのです。

まずはあの「情熱大陸」に、硯の専門店「宝研堂」の四代目、青栁貴史さんが出演します! 1月21日(日曜日)午後11時20分から、テーマは「製硯師」です。

―“硯作りの貴公子”と呼ばれる38歳。頭の中は四六時中、“硯”でいっぱい…こじらせ系イケメン職人に密着!― ですと!

やりますねえ♡

そして、2月20日から3月5日まで、「青栁派の硯」展が開催されます。

 

そしてそして、青栁貴史さんが作った硯の写真を満載した書籍『製硯師』も発行されるのです。発行元は天来書院。(ほんとはこれが言いたかったけど、控えめにニュースの最後)

製硯師

A4判96ページ、2500円+税。格調高く、美しい硯の写真がたくさん載っています。

 

左は端渓坑仔岩の挿手硯で、中国清代中期の硯を模したもの、中央は歙州眉子紋の長方淌池硯で明代の硯、右は澄泥鱔魚黄の長方淌池硯で、清代中期から民国初期の硯を模したものです。

書道でいえば「臨書」、篆刻で言えば「模刻」です。こうやって知識や技法を会得するんですね。

硯の職人さんは、雨畑など硯の産地の近くに住んで、その地方独特の技法で硯を作るのが普通ですが、宝研堂さんは硯の改刻をしているので、あらゆる硯石の特徴を知り、刻することが必須なのです。

 

端渓老坑

上の二面は端渓老坑、紋様が美しい石ですね。

 

左は蓮の紋様を彫り込んだ端渓麻子坑の硯、右は端渓老坑で、江戸時代の雲の形だそうです。

端渓老坑、坑仔岩、麻子坑、歙州硯、澄泥硯、赤間石や玄昌石など、美しい石を贅沢に使った硯がたくさん紹介されています。

 

上は、青栁貴史さんが提案する新しい硯式です。自然の風景が見えませんか?

目指すのはデザインの斬新さではなく、石そのものが持つ美しさを引き出すこと。手のひらに乗る、自然の絶景そのものなんですって。すごい。

 

青栁さんは大東文化大学の講師をつとめ、若いお弟子さんが育っています。また、筆や墨の若い職人さんとも交流もあります。硯製作の一つの過程を引き受けるのではなく、原石を選び、硯式を決め、彫り、磨き、仕上げ、さらに流通までをプロデュースする硯のマイスター、それが製硯師なのです。

 

「青栁派の硯」展を演出しているのは「ニッポン手仕事図鑑」の大牧圭吾さん。日本の職人の技術や文化を動画で残していきたい」というコンセプトの中で、青栁さんと知り合い、今では戦友のような間柄だとか。まったくかっこいいお二人です。この対談も必読ですよ。

他に、青栁さんがどのようにしてこの道に入ったか、ご尊父で社長の青栁彰男さんのインタビューなど、読み応えのある記事もたくさんあります。

 

筆墨硯紙の職人さんは老人のイメージがありますが、このように若くて理想に燃えた方が業界をひっぱって、新しい波を作っていく。すばらしいことだと思います。

みなさまも応援してくださいね。

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書道