来年春、ユーストリームの書道テレビで「雄勝は今!」という番組を放送することになりました。先月取材してきましたので、ご報告します。
日本一の製造量を誇る雄勝の硯。地震による津波で大きな被害を受けたことは報道されましたが、その後のことは知られていません。石の採取は? 職人さんは? 心配ですね。
まずはお昼を
仮営業所風ではありますが、お寿司屋さんが営業中でした。
私が頼んだ海鮮丼。ご覧ください。ほたて、まぐろ、甘エビ、うに、いくら、数の子。どれも新鮮そのものです。
鉄火丼。
ほたて・いくら丼。
雄勝丼(焼いたホタテがのっています)。どれも美味しそうでしょ。
でも、目的はこれではありません。硯です、硯。で、硯を作っている工房に案内してくださいました。
おお、ベテランの職人さん登場。十代から初めて50年のキャリアです。なにしろ、速い! かつての学童用硯のほとんどが雄勝だったので、量を生産する必要があったのです。かたい石なのに、いとも簡単そうにノミを使います。かっこいい!
雄勝では、かつては大量生産のために柔らかい石を採っていたのですが、最近は質を重視して、かたい石を使うそうです。端渓のように紋様がない分、均一に墨が磨れるそうです。なーるほど。
次に、石を採る現場を見せてくださることに。
上質な石を採るためには、山を登らなくてはなりません。ちょっとたいへん。
硯の石がたくさん落ちています。ちょっと歩きにくい。
こんなクレーン車でダイナミックに採石します。大迫力。
掘り出した石を割りますよ。これ、普通の岩に見えますが
割るとこんな風に黒い面があらわれます。あーら不思議。
こうやって、同じ幅に割るのは名人しかできません。若いもんには負けられない!
ここは本当に美しいところです。湾になっているので、こんな風景が広がります。
夕焼けの雲を映す水面。なんという幻想的な光景でしょう。
翌日の朝。青空を映す水面は、空よりも青く透明です。
逆光の海は、銀色に輝いています。
この川には、鮭が登ってきます。だから、イクラが美味しいわけです。
でも、大津波の爪あとはまぎれもなく残っていました。このあたりはたくさんの民家があった場所です。なんにもなくなっちゃいました。
ここは昔から津波の被害が多かった場所だそうです。「地震があったら津波の用心」。昭和8年3月3日に建てられた石碑です。
おっと、硯の紹介をせねば。このカフェの屋根、雄勝の石で作られているんですよ。美しい石です。
これが雄勝硯。石質が吟味されているので、上質の硯が生産されています。この値段なら安いと思います。書道テレビでは、実際に墨を磨ってみますよ。
硯だけではなく、食器も作られています。美しい質感の黒い石なので、お料理がおいしそうに見えるに違いありませんね。
というわけで取材は無事終了。テレビの本番では、採石や製硯の様子、職人さんのインタビューなどを動画でご紹介します。お楽しみに。