特別の羊毛筆
前回、羊毛筆の原料はヤギの毛だというお話をしましたね。今日はその中で、ちょっと特殊な羊毛筆のお話です。
天来書院では、天来愛用筆を三種類ご紹介しています。上から晴峰・羊毛の剛・かな羊毛の剛。
これ、実は羊毛だけでなく、他の動物の毛が混ざっているんです。それは鹿の毛。
顕微鏡で見るとわかりますが、鹿毛は中がこんなふうに空洞になっています。おもしろいでしょ?
鹿の毛を混ぜると、しなやかな弾力がでるので、書きごたえのある筆になります。自然環境や餌が変化したので、最近の羊毛の毛質は昔のような弾力が減っているそうですから、ちょうどいいのかもしれません。羊毛筆初心者にもお勧めです。
それに対して、手島右卿先生愛用筆は、純粋に羊毛のみ。
まさに極上の細光鋒。美しいことこの上なしですが、この毛は一匹のヤギからわずかしか取れないので、毎年、少ししか作れないそうです。
書家によって、好みやこだわりは違っています。そのうちに、ほかの方々の愛用筆もご紹介していきましょうね。
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