比田井南谷の命日
2025年10月26日
10月15日は父、比田井南谷の命日でした。

比田井家のお墓があるのは北鎌倉の建長寺です。

建長寺といえば、この鐘楼が有名ですね。
紅葉にはちょっと早くて残念。

本堂に向かう参道に、上田桑鳩先生ご揮毫の「比田井天来先生碑」があります。
天来の生涯と業績を称える碑で、昭和14年の比田井天来没後まもなく企画されたもの。
『雁塔聖教序』を彷彿とさせる淡麗かつ天衣無縫の書で、左に建っている「比田井天来先生碑」も桑鳩先生の書。
こちらは孟法師碑を彷彿とさせます。
昭和15年の除幕式の様子はこちら。
書籍「天来先生碑銘(一部縮小版)はこちら。

「比田井家之墓」は桑原翠邦先生に書いていただきました。
おおらかであたたかい書です。
実は、お墓参りの前にお墓の掃除をしようと思って隊長(弟です)に電話したら、
「もう終わってるよ」
雨になるかもしれないから先に一人で済ませたそう。
何から何まで申し訳ないと思いつつ

「お料理ができる前にビール飲んでていいよ」ということばに甘えてビールを注いだところです。
(乾杯はまだですが、そーっと飲んだ)

乾杯(正式ではありません)はバーボンのハイボール。
父がいつも飲んでいました。

おつまみも出してくれました。
サラミに下に隠れているのは「柿」。
サラミの塩気と柿の上品な甘みがすごくあいます。

というわけで、本番のかんぱーい。
お酒は純米大吟醸の「郷乃譽」。
ラベルは金子卓義先生の書。
繊細で絶妙のバランスです。
卓義先生がこのお酒を愛していらっしゃったことがよくわかります。
ちなみに、2012年の書道テレビで「金子卓義ー太古への夢」という番組を放映しました。
金子大蔵先生はじめ、たくさんの方にお世話になりました。
ではでは、本日のご馳走です。
作ったのはぜーんぶ隊長です。(ほんとにすごい)

手前はネギとホタテの酢味噌あえ。
右は柿と炙ったおあげの白和え。
一番奥はひきわり納豆ともずくとオクラととろろのぽん酢和えに、削ったおかかが乗っています。
どれも最高の日本酒のお友だち。
「うまいね!」という南谷の声が聞こえそうです。

さて、これは何でしょう?
右手前はトルティーヤチップスでその奥はタコソース。
ここまでは普通ですが、左のたくあんが妙じゃありません?
それは私が結婚する前、1975年頃のことでした、
父と弟と一緒に飲んでいて、何かおつまみを、と思って見つけたのがトルティーヤチップス。
そこにちょうど、天来の生家から送ってくれたタクアンがありました。
チップスに乗せて食べてみたらものすごく美味しい。
盛り上がって三人でいっぱい食べたら、翌日お腹が痛かった、という思い出のレシピです。
(あの素朴なタクアンのほうが美味しかったけど・・・。)
ちなみに、トルティーヤにつけるべき正しいタコソースはもちろん美味でございます。

こちらは本格的な酒の肴、「牡蠣の山椒煮」です。
お店で、超大きい牡蠣を見つけたので作ったそう。
お酒が好きな人なら、誰だって「うまい!」と言うに違いない。

お手製のぬか漬けはナス(味も色もよい!)、きゅうり、小松菜。

南谷が晩年、超大好きだった「かぼちゃのしっとり煮」。
当時、隊長はかぼちゃを一度に三個も買ったそう。
この煮物は美味しくて食べやすいので、高齢者にも大人気です。

漬けサーモンとアボガドとモッツァレラチーズです。

里芋煮っころがしに入っているのは上等の牛肉、リブロースです。
なんてまあ贅沢な! とは思いますが、これすごい。
お肉が好きな若い人も、里芋大好きになるに違いない!

そして、これぞ本日のメインディッシュ、「黒毛和牛テールのポトフ」です。
こういう煮込みは、圧力鍋を使えば脂やコラーゲンの部分を柔らかくできますが、お肉の部分が締まってかたくなりがち。
これはなんと、先に3時間煮込み、その後、さらに圧力鍋で煮たそうです。
なので、すべてがとろっとろ。
もう、たまりません。
このとき、もちろん赤ワインを飲んでいますが、いい写真が撮れなかったので省略。
そして、この後、辛ーいカレーがでました。
辛いのが苦手なムー教授は、牛乳を所望しましたとさ。
本当に幸せな晩でした。
さりげなく見えますが、ポトフのお肉は途中で何度も脂を取り除いたり、細やかな心遣い満載のヘルシーなレシピばかりです。
南谷の晩年は、すべて隊長(弟です)がお料理当番。
どうやら南谷は、美味しいお料理につられて作品制作の秘密も語っているらしい。
興味のある方はブログをお読みください。