象さんの耳打ち
天来書院
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第11回 佐久全国臨書展

2022佐久全国臨書展パンフレット

2022/11/19、長野県佐久市にて開催される「比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展」の開会式・授賞式が行われました。

日本全国および台湾から、今回も3000点を超える出品数となりました。

そしてこの日、コロナ禍の影響でしばらく行われていなかった、審査員の先生方の席上揮毫が復活しました。その模様も映像でお伝え致します。


・展覧会場

佐久市立近代美術館
展覧会場の佐久市立近代美術館
1F展示室

1Fの展示室では、比田井天来と小琴の作品、および今回の審査員である先生方の臨書作品が展示されています。

審査員作品

左上から
仲川恭司先生『杜家立成雑書要略 光明皇后』
石飛博光先生『爨宝子碑』
慶徳紀子先生『三十六人家集石山切伊勢集』
高木厚人先生『寸松庵色紙』
加藤春暉先生『白氏詩巻 小野道風』
髙橋蒼石先生『白氏文集 伝 菅原道真』
船本芳雲先生『朱陽之臺 鄭道昭』
辻元大雲先生『楊淮表紀』
有岡シュン崖先生『元楨定墓誌銘』
 

3Fには受賞作品が並びます。

下の写真右上が天来賞受賞作です。
真ん中の『自書告身』をはじめ、左隣『張玄墓誌』、右隣『張遷碑』、いずれも力作です。

臨書展作品1
臨書展作品4

2Fは一般、高校生の部、中学生以下の作品です。

臨書展作品5
臨書展作品2

・授賞式

午後からは開会式、授賞式です。
感染対策を行いながらの進行となりましたが、大勢の受賞者の皆さんが参加されました。

授賞式1
授賞式2
(右上)審査員特別賞受賞者には直筆の色紙が進呈されます。

・揮毫会

授賞式は滞りなく進み、お待ちかねの席上揮毫となります。
審査員の先生方が、我々の見ている眼の前で作品を書くという人気のイベントです。

なお、手元ズームの別撮り映像を画面スミに入れ込んでみましたが、これは会場のスクリーンに投影されたものをiphoneでたまたま撮っていたものです。色味や手ブレのひどいところに応急処置を施したものですので、見づらさに関してはご容赦願います。

1.毎回、柳田市長がトップバッターを務めて下さるのが恒例となっています。
空海『風信帖』の中から「風信」の2字を大きく臨書。
風信帖の冒頭「風」字は特に難しいとされますが、これを果敢に書きこなして見事な臨書作品となりました。

2.高木厚人先生は、かな作品です。机の上で展開される雅な世界。
『寸松庵色紙』の臨書です。丁寧に書き進めていっているように見えますが、これでも少し早くなってしまったとおっしゃっています。

3.有岡シュン崖先生は『元楨墓誌銘』です。
北魏の時代ならではの線の鋭さが特徴で、臨書作品にもそれがよく現れています。予定していた構成から2字足したとのことですが、美しく収まっています。

4.辻元大雲先生は顔真卿『祭姪文稿』です。
柔らかい羊毛の長鋒を巧みに使いこなし、祭姪文稿に込められた激情を線で表現していきます。

5.髙橋蒼石先生は『張猛龍碑』です。
指や手首をほとんど使わず、「腕で書く」ことが、力の籠もった線の秘訣なのだそうです。

6.石飛博光先生は『張遷碑』です。
8字の言葉を、全紙4枚に2字ずつというダイナミックな臨書です。元々4字を2枚で書く予定が、場に刺激されてもっと書きたくなったとのことでした。これも揮毫会の醍醐味です。

7.最後は仲川恭司先生。『風信帖』の3通の中から『忽恵帖』の一部分を臨書します。
当初、別のテーマを準備されていたのですが、墨の濃さが十分でなかったため、急遽これに変更されました。にもかかわらずこの巧みさには感服です。

こうして7点の素晴らしい作品が揃いました。
書き手の原本の捉え方、表現の仕方を推察し、それぞれの違いを味わうのも臨書作品鑑賞の楽しみのひとつです。
3年ぶりの揮毫会は非常に熱のこもった充実したものになりました。

揮毫会作品

 


 

会期は12/11(日)までです。まだ少しチャンスがありますので、ぜひお出かけ下さい。

・佐久全国臨書展について(天来記念館)

・第11回 臨書展審査結果