米芾と比田井天来

2015年8月26日

比田井天来の臨書集「天来習作帖」は、金文から始まり、漢代の隷書、王羲之を初めとする行書草書、唐代の楷書など、古典名品の臨書集です。この中に、米芾「値夜帖」の臨書があります。

そもそも天来は、臨書手本は、中国は唐時代まで、日本は平安までにせよ、と言ったのに、なぜでしょう。

実は、宋代以降の書は、臨書にふさわしくないものが多いというのです。宋代以降の書の中で天来がほめているのは米芾と楊維楨、何紹基、劉石庵です。

米芾 値夜帖

右が天来習作帖に掲載された天来の臨書。左は天来がもっていた「英光堂帖」の中の米芾書です。天来はこんなふうに言っています。

宋人の書は、概して品の悪いものが多いので、臨書してみたいようなものは少ないが、米元章のよく出来たものには、捨てがたいものがある。此帖は、英光堂という法帖の中に刻してある。英光堂帖は幾帖あるものか、誰も全帖を見たという人を聞かない。前年神田の本屋で一帖見たことがあったが、左程得難い物とも思わないので買わなかった処が、それ以来頓と見たことがない。三、四年前、朝鮮で一冊買ったのが此本である。

この英光堂帖は、中国で発行されているものよりはるかに精彩があります。この英光堂帖を初めてご紹介するのが、最新刊「米芾の書」です。

米芾

上は、紫金研帖(左)と値雨帖(右)。ほかに、有名な苕渓詩や李太師帖、張季明帖、さらに法帖に刻された名品など、ひと味ちがう米芾名品集です。

米芾

 

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書道