「隊長、詩(私)的に書を語る」は、比田井義信(1953年生まれ・私の弟です)が母、比田井小葩(しょうは)を回想しながら、小葩の書を語るシリーズです。
比田井小葩のオフィシャルサイトはこちら。
2024年10月14日から「時々南谷」を追加して、比田井南谷の作品も紹介しています。
水と月の光が
しずかに
眼のなかを
ながれていた
これは琴心会書展の出品写真と一緒になっていたので、展覧会で飾られたものなのでしょうか。
にじみのある文字と細い線がなんだか幻想的な風景を思い起こさせます。
僕は小学校中ごろから、縦にも横にも成長が激しかったので横浜のデパートでは、よそいきの洋服がありませんでした。
そこで年に2回くらいニューグランドとか旅行とかの、お出かけの服を買いに銀座とか新宿のデパートまで連れて行ってもらいました。
その時に書道展にも寄るのですが、大抵かなとかの展覧会で、僕は控室とかで待っていました。
すると、そこにいるお弟子さんたちらしい女性たちの噂話が、堀先生にお茶を出すと必ず怒られるのよ、熱いとかぬるいとか、まずいとかもう本当にやんなっちゃうわよねー!、、、
とそこへ噂の堀先生がみえたじゃないですか!
みんな、あなたがいれなさいよ、いやよ怒られるもの、、、
そこへ母が、ちょっと待っててねとみんなに言うと出てゆき、デパートの下の階からお茶を買って戻るとゆっくりお茶を入れて、僕に持って行きなさいと言ったのです。
えー?!
こわごわお茶を持って行き、どうぞと置くと、あら?と僕をじろっと見た後、お茶を一口、
ありがと、といった顔は怒っていませんでした。
そのあと、それじゃあお先にと会場を出た後、下の階でシャツやセーターを何枚も買ってくれました。
選びながら背中に当ててみて、あーらこれは袖がつんつるてんねー!とか言うのが懐かしく思い出されます。
やりますねえ、比田井小葩!
小さい男の子がお茶をもってきて、心配そうに「どうぞ」なんて言ったら、いくら厳しい先生だって嬉しくなっちゃいますよね。
しかも、師匠のお孫さんだし。。。
この写真も楽しそうですね。
前列左から堀桂琴先生、天野翠琴先生、岡部蒼風先生。
後列は左から上田桑鳩先生、比田井小葩、晩翠軒の松尾謙三さん。
イタリック部分は比田井和子のつぶやきです。