新佐久市誕生20周年記念事業として、佐久市立近代美術館・佐久市立天来記念館連携企画「比田井天来とその流れ」展が開催されます。

 

     比田井天来とその流れ 新佐久市誕生20周年記念事業


佐久市立近代美術館 5月17日(土)〜6月22日(日)

 9:00〜17:00 月曜火曜休館

佐久市立天来記念館 3月22日(土)〜6月22日(日)

 9:30〜17:00 月曜休館


佐久市立天来記念館の展示は昨日から始まっています。

新しく収蔵された天来の作品が中心になっていますので、ご紹介しましょう。

なんといってもご注目いただきたいのは、2024年に寄贈された「龍跳」二字の六曲双屏風。

すばらしい迫力です。

天来は43歳から新しい筆法の研究を始めて48歳頃にほぼ完成し、50歳の「学書筌蹄」でその全貌を公開しました。

この屏風が書かれたのは49歳の時。

筆法発見の喜びと自信にあふれた傑作です。


「養心王」は今回の展示にあわせて比田井家から寄贈されました。

こちらは63歳から65歳頃のものと思われますが、すっきりとした格調高い作品です。


こんなふうに展示されています。

すごい迫力です!

右端は新収蔵ではありませんが、心の趣くままに筆をふるった代表作の一つ「信濃日日新聞宛書簡」(47歳)です。


上の三点は新しく収蔵された条幅です。

今まで発表されたことがなく、初めてのお目見えですが、由緒正しい優品です。

右は小川三郎さん旧蔵、中央は桑原翠邦先生箱書、左は金子鷗亭先生箱書。

すごい作品が出てきましたね!


これも昨年寄贈を受けた「書譜」を臨書した屏風です。

1978年に教育書籍から発行された「比田井天来の書」に掲載されている有名な作品です。


寄贈してくださったみなさま、本当にありがとうございました。


おっと、もう一つ、というか一セット新収蔵の作品があります。

 

比田井家から寄贈した「一本会とっくり」です。

箱書は比田井南谷。

天来はお酒が好きで、若い頃は二升(!)飲んだと言われますが、お弟子さんともお酒を酌み交わしながら議論を楽しみました。

でも、体を壊すほど飲みすぎてはいけない、ということで結成したのが一本会、天来が会長です。

お酒を飲むなら一人一本。

とっくりは大きくても小さくても良いが、一本でやめること。

きっと天来自身へのいましめでもあったのでしょうが、果たして一本ですんだのかは疑問です。


こちらは新収蔵ではありませんが、天来記念館に所蔵される大切な作品が展示されています。

右は天来の妻、小琴と天来の貼りまぜ屏風で、その左二点は小琴の作品です。

その左には「慰霊之碑」の草稿、絶筆(天来老人)、「画沙老人」落款の作品。


隣りの展示室には、天来記念館に所蔵されている門流の作品が展示されています。

天来記念館建設にあたっては、公的資金だけでなく、門流の先生方が作品を頒布して多額の寄付をしてくださいました。

当時を彷彿とさせる気合の入った素晴らしい作品ばかりです。

 

左から手島右卿、桑原翠邦、金子鷗亭。


比田井南谷、千代倉桜舟、上田桑鳩、高石峯。


石田栖湖、大森萬里、桑原江南。


石橋犀水、武士桑風、徳野大空。


天来記念館前で撮影された写真です。

出品者は、右から二人目の桑原翠邦、手島右卿、ひとり置いて金子鷗亭、石田栖湖、左端が比田井南谷。

今回の展覧会を喜んでくださっているかな?


門流の部屋には上記直門のほかに、上田桑鳩門、金子鷗亭門、桑原翠邦門、手島右卿門の方々の作品も展示されています。


5月になると、近代美術館の展示も始まります。

イベントとして、5月25日に比田井和子の講演、6月7日に天来門流による席上揮毫会が計画されています。

近づいたら詳しくご案内したいと思っています。


寒い冬も終わり、旅行シーズン到来!

美味しいおそばも待っています。

お誘い合わせの上、ぜひぜひおでかけください。

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