第14回 比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展
2025年12月3日
第14回 比田井天来・小琴顕彰 佐久全国臨書展が始まりました。
2025年11月22日(土)から12月14日(日)まで、会場は佐久市立近代美術館。
開館時間は午前9時30分から午後5時までです。
休館日は11月25日(火曜日)、12月1日(月曜日)、12月4日(木曜日)、12月8日(月曜日)です。

会場の佐久市立近代美術館です。
北陸新幹線佐久平駅からタクシーで10分、あるいはJR小海線へ乗り継ぎ「北中込駅」下車、徒歩15分。

臨書原本は甲骨文から金文、漢碑や木簡、王羲之、造像記と磨崖碑、初唐から顔真卿の楷書や行草書、そして日本の奈良平安の名筆まで。
審査員長の仲川恭司先生の審査講評に、次のように書かれています。
審査を担当して感じましたことは、臨書をされている古典の碑・法帖の種類の数が増し、しかも入賞上位の作品にその傾向が出ているようです。
これは良い傾向なのではないかと嬉しく思いました。(図録より引用)
本当に、これほど多彩な古典による臨書展は珍しいのではないかと思います。

まずは、本展の最高賞である天来賞を受賞した作品です。
左から「曹全碑」「王羲之喪乱帖」「牛橛造像記」。
洗練された曹全碑、王羲之の高雅な臨書、力強く存在感をアピールする造像記。
それぞれまったく異なった趣の三点です。

続いて市長賞です。
「鄭長猷造像記」「欧陽詢九成宮醴泉銘」「木簡」。

教育長賞は「顔真卿建中告身帖」「張猛龍碑」「楊淮表紀」。

佐久市書道連盟賞は「馬鳴寺根法師碑」「伊都内親王願文」「張猛龍碑」。

こちらは仮名作品です。
小琴賞「寸松庵色紙」、市長賞「関戸本古今集」、教育長賞「髙野切第二種」、佐久市書道連盟賞「曼殊院本古今集」。

小学生の天来賞です。
私たちが審査をしていて、一番楽しいのはこの小学生の部。
自由な発想で、しかも原本の趣を伝えるすばらしい作品があるのです。
一年生「賀蘭汗造像記」、二年生「牛橛造像記」、三年生「褚遂良雁塔聖教序」、四年生「空海灌頂記」、五年生「木簡」、六年生「牛橛造像記」。

11月22日(土)授賞式の日は、午前中に審査員の先生方による作品講評がありました。
今年の審査員長、仲川恭司先生が講評していらっしゃるのは、小学生の天来賞。
ご家族といっしょの受賞者を見つけて、
「こっちにいらっしゃい。とっても上手だね」
小学生の臨書は、無垢でありながら、鋭いところがあってびっくりしちゃいます。

いよいよ授賞式です。
写真は佐久市教育長賞を授与する教育長、神津長生さんと、受賞した小学生。
左には佐久市長の栁田清二さん、審査員の先生方、そして臨書展実行委員長の吉川徹さんがいらっしゃいます。
可愛らしい受賞者を前にして、なごやかな表情をなさっていますね。
ちなみにこの臨書展、小学生と中学生は出品料無料で、天来賞の表具代も無料です。

さてさて、この授賞式会場には、後方に舞台が準備されています。
ここで、審査員の先生方の席上揮毫があるんです。

今回は、簡単な書道史をパネルにしてみました。(あまりにおおざっぱですみません)
甲骨文、金文、漢碑、王羲之、鄭道昭摩崖、初唐の楷書と行書、盛唐顔真卿の楷書と行書。
これらの中から、歴史順に古典を臨書していただきました。
最初は漢碑の中から、古来その美しさが称賛されている「礼器碑」です。

書いてくださるのは、臨書展副審査員長の高橋蒼石先生です。
2×8サイズの紙に、じっくりと書き進みます。
ユーチューブ動画はこちら。

続いて、本年度当番審査員で全日本書芸文化院代表の吉田菁風先生。
お書きになるのは「鄭道昭論経書詩」です。
北魏時代、磨かれていない自然の岩に直接書いた野性味あふれる世界が再現されました。
ユーチューブ動画はこちら。

続いて同じく今年度当番審査員の辻元大雲先生(書道芸術院顧問)。
初唐に完成した美しい楷書の典型、「褚遂良雁塔聖教序」を濃墨の細い線で書いてくださいました。
「初唐の楷書は一番難しいのに、比田井さんに言われて仕方なく書いた」なんておっしゃっていましたが、どうしてどうして、雁塔聖教序の新しい魅力を発見した気持ちになりました。
ユーチューブ動画はこちら。

臨書展実行委員で、当番審査員の加藤春暉先生が書いてくださったのは「褚遂良枯樹賦」。
同じ褚遂良の書ですが、こちらは行書なので動きがあります。
ユーチューブ動画はこちら。

本年度審査員長で独立書人団会長の仲川恭司先生は「唐太宗温泉銘」。
名天子とうたわれた唐太宗の雄大な趣を、濃墨でじっくりとお書きになる様子は圧巻でした。
まさに温泉銘の線です!
ユーチューブ動画はこちら。
なお、12月6日14:00から、仲川恭司先生を講師にお迎えしてワークショップが開催されますが、そのテーマも「温泉銘」。
受講者はほんとにラッキーです。

完成した作品が展示されました。
左は小中学生の一次審査をしてくださった先生方。
今回は時間が足りないので、残念ながら作品のみのご紹介です。
柳杏秋先生の「王志一日無申帖」、内田藍亭先生の「金文」、松尾鴻先生の「鄭道昭上遊天柱下息題字」、金子大蔵先生の「顔真卿祭姪文稿」。
こちらも本当に多彩な臨書です。
続いて、旭谷朗抱先生の「顔真卿祭姪文稿」。
先生はご出席でしたが、お腰を痛めていらっしゃったので、お持ちくださった作品の紹介とコメントをいただきました。
ユーチューブ動画はこちら。
そして、右半分には、先程書いてくださった「礼器碑」「鄭道昭論経書詩」「褚遂良雁塔聖教序」「褚遂良枯樹賦」「唐太宗温泉銘」が展示されています。
こうして拝見すると、臨書原本によって、極めて多彩な世界が繰り広げられているのがわかります。
審査員長仲川恭司先生の審査講評をもう一度引用させていただきます。
(天来は)型にとらわれることなく全ての人が個人となって大海に泳ぎ出て「書の本質」を追求することを願ったのです。
さて、来年の臨書展は第15回の節目を迎えます。
将来の古典解釈に新しい方向を示唆する、審査員を驚かせる傑作が出品されるかもしれません。
楽しみにお待ちしています!