寒中お伺い申し上げます
例年にない寒さの一月になりましたが
野山の生き物世界は今日も淡々と過ぎてゆきます。
蔓梅もどきの実を食べるメジロ
檀(まゆみ)の実を食べるメジロ
檀(まゆみ)の実を食べるコゲラ
“ ヘヘ ”
台湾リスは真冬も忙しそうです。
“ ヨンダ?”
元気でね!
季節はたしかな歩みを進めていて
寒風のなかを梅がほころびはじめています。
紅梅も
川に沿った遊歩道を行くと
薄日のベンチで待っていた猫さんが
“ チョットイイカナ ”
なあに
“ 雪 フル ッテ ?
オサンポノヒトガ イッテルケド ”
天気予報はそう言ってるね
今日は はやくお家に帰ろうよ
“ ジャア イソイデ オナカダケ ケヅクロイ スルカラ ミテテ… ”
じゃあ 見てる
そして 灰ネコさんはトコトコお家の方へ帰ってゆきました。
帰ると 我が家のふたりは
“ ミヤチャン ナニシテルノ ”
“ キニ シナイデ ”
“ ネエ ナニシテルノ ”
“ アッチ イッテヨ ”
“ イッショニ ソコ ハイリタイ ”
“ ダメ アッチ イッテヨ ”
“ イッショニ ハイル ”
“ カミクズ ノ フクロ ダッタ ”
いつものように みやは 怒って行ってしまいました。
いつものことですが ひたちがちょっとかわいそうです。
険のある性格はなかなか変わらないもので。
ひたちも十年の付き合いになると、それなりに
もう慣れたのでしょうか。
ひんやりと 上空は雪の気配です。
幽(かす)かに雪ふりいで、
月徐(おもむろ)にのぼる。
柳沢 健「雪の上」より 抜粋
ああ智慧(ちゑ)は かかる静かな冬の日に
それはふと思ひがけない時に来る
人影の絶えた境に
山林に
たとへばかかる精舎の庭に
前触れもなくそれが汝の前に来て
かかる時 ささやく言葉に信をおけ
「静かな眼 平和な心 その外に何の宝が世にあらう」
三好達治「冬の日」より 抜粋