秋も深まる10月の末日のこと、
横浜の田舎はのどかでございましたが
“ ヒナタ チョト アツイ ヒカゲ チョト サムイ ”
こども公園の大人猫さんも、ゆっくりお散歩です。
用事で目白に出かけたら、山手線の駅に、
角が生えた人、羽が付いた人、アリスや狼男やドラキュラやスーパーマリオや
血まみれのゾンビがあふれていました。
渋谷駅を通過する時、ハチ公方面出口は混雑して使えない旨、
駅員さんの苦しげな声のアナウンスが聞こえました。
散歩仙人なら仰天でしょうが、私は知ってますよ ハロウィン。
10月に入ると間もなく、お店は南瓜とワルプルギスの魔女みたいな飾りだらけ。
喧噪はほぼひと月続きます。
いつの間にこんなに大々的なイベントになったのかと、その方に驚きます。
欧州の土俗の収穫祭とカソリックの万聖節(11月1日)の混ざり合ったお祭り
らしいと、何となく諒解していましたが、
そこに何故 血まみれのゾンビの集団が登場するのか、
それを不思議に思っていました。
昨日、カソリックの知人に教えて貰いました。
万聖節はあらゆる人のための祈りの日なので、その前夜(10月末日)は
死者もよみがえる夜。「平たく言えばお盆みたいなもの」というのでした。
あのゾンビは死の世界から帰って来た姿 とすると関連がないとも言えません。
もはや キリスト教の話とは思えない展開ですが。
もっとも そんな由来や意義を問題にする人は、
この大騒ぎのイベントには参加していないのでしょう。
バレンタインデイやハロウィン、あたかも外国の習慣を取り込んだかのような名前で、
実はどこにも原型のない大消費祭を、商業界が仕掛けて大成功している。
訳はわからないが派手に盛り上がる騒ぎを、外国から見物に来たりしているという。
この国はお商売の人が特段に優秀で、商業活動はまことに上手くいっているようです。
賑やかで、皆が楽しいことなら、それは良いことです。でも、
10月31日、美しい秋の一日、渋谷には行かない方が良い、アブナイから。
などと言われるこの状況は不愉快だ。
欧州の田舎では、今でも素朴に感謝のお祭りが行われているのでしょうか。
実りの秋です。
まばらなる竹の かなたの しろかべに
しだれてあかき かきの実のかず
会津八一