もう一つの梧竹(篆隷5) 進化のアーカイブ

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ここしばらく「もう一つの梧竹」のテーマで篆隷書をとりあげている。梧竹はこのジャンルの中でも、いくつもの様式のレパートリをみせている。草書の場合は2・3の類型にまとめて、進化の流れを探ることも不可能ではないが、篆隷書では突然変異的な書風が目立って、連続的な流れとして捉えることはむずかしい。


図1最終s.jpg85歳「銭起 江行無題100首の59」は、堂々たる存在感をもって、梧竹隷書の到達点の一つを示している。梧竹の好みは、八分隷よりも古隷にあったようだが、単純な古隷ではなく、篆書の筆意、八分の筆意を兼ねて加えて、オリジナルの隷書体を創成している。

80歳代の作では(篆隷に限らず草書でも)、縦の章法(上下の文字との連携)だけでなく、横の章法(左右の文字との連携)についての工夫が顕著にみられる。本作について横の連携を表示しておいた。扁額の書を積み上げたようなおもしろい構造で、このような章法の発想には、構図・構成というのが適当かもしれない。

図2+図3.jpg




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