能登半島地震から1年9か月。
被災した輪島塗の職人たちは、いまも各地で懸命に創作を続けています。私もまた、その一人として、このたび東京都内で開催される催事に出展しています。伝統をつなぐ「今」の輪島塗と、美術館級のビンテージ作品をご紹介できる貴重な機会です。
昨年発生した能登半島地震により、輪島塗の多くの職人たちは自宅や工房を失い、今もなお避難生活や仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。そのため、輪島での生産体制はいまだ十分に回復していません。
今回の出展では、私自身の作品は数こそ限られますが、他産地の職人とのコラボレーション作品や震災前から大切に保管してきた在庫品を中心に展示いたします。
さらに注目いただきたいのは、輪島塗のビンテージ品です。輪島塗で唯一文化功労者に顕彰された沈金の巨匠・三谷吾一、そして鈴虫や椿などの意匠で知られる蒔絵師・鈴谷鐵五郎。
両名の作品は、美術館に並ぶ水準の逸品であり、ご覧いただくだけでも大きな価値があります。
下の写真は女流作家が作った秋海棠の宝石箱。
輪島のギャラリーの庭には秋海棠が咲き始めました。フキの葉と似ていますが、葉の色がフキよりも青みがかった綺麗な色なのが特徴です。桃色の可憐な花が可愛らしいですね。
私は今後3年のうちに輪島でギャラリーを再建することを目標としています。今回の出展は、その再建に向けた活動の一環でもあります。どうぞお近くの方は、ぜひ会場に足をお運びいただければ幸いです。
【会場】東武百貨店 池袋本店 8階 催事場「北陸・信越展」
【日時】10月1日(水)~10月7日(火)10:00〜19:00
【住所】東京都豊島区西池袋1-1-25