松の枝に潜んで歌うウグイス
歩いていると、身隠れの ウグイスの 声が聞こえます。
春の歌のお稽古も進んでまいりました。
北鎌倉の駅を出て、観光コースからは外れた道筋から、
小さなお寺の脇のゆるい坂をのぼり、
里山に分け入る小径を さらにのぼって行けば、
モミヂイチゴ
静かな緑の繁茂する中に、知る人ぞ知る ギャラリーレストランはあります。
“ イラッシャイ ”
これも、常連にはお馴染みの看板ネコ、チャオちゃんがお出迎え。
人なつこい男の子です。
冬の間にまた大きくなったかな。
“ ミンナニ イワレルヨ ”
そうでしょう。ほっぺ幅が肩幅を超えたか。
ベランダに置かれた素焼きの壺は 野鳥のためのゴハン入れ
そこ自体、鎌倉に珍しくない小さな崖の縁のような場所に位置して、
見晴らしのよい部屋の広い窓からは、鎌倉の山の、浅い深い谷、
小さい あるいは大きい起伏に沿って広がる木立や、竹叢や、
さまざまの植物の季節の姿を看取ることができます。
今、遠景がほの赤く霞んでいるのは、花の気配を一杯に湛えているからでしょう。
山の桜の季節はこれからです。
“ コンニチハ ”
台湾リスはこの里山にもたくさん住んでいます。
“ ヘヘ ”
野鳥のゴハンを頂きに、ちゃっかり毎日やって来るという。
“ イタダキマース ”
食器の壺に逆さまになって体を突っ込んで、モグモグ嬉しそうに食べて帰るのが
窓際の席からよく見えます。
ここのお客は、窓の外に遠くまで広がる山の景色を見ながら、
のんびりしたひとときを楽しみにくる人ばかり。
猫もお客を気にしません。
マイペースに遊び、飽きれば自室に帰ります。
たまたま気が向けば、お客の膝に上がり、ニコニコ四方山話に付き合います。
あちらはお客さん一人のテーブル と思ったら、実は相席で、
“ アンモニャイト ”
チャオちゃんの相棒、ハナちゃんは、別室に帰るでもなく、
リスの遊ぶベランダに面した、明るい客席の籐椅子でグッスリ。
間もなく鎌倉の桜も見頃になります。
ソメイヨシノ
ヤマザクラ
花色風初暖
鶯声日漸遅
花色(くわしよく) 風初めて暖かに
鶯の声 日に漸(やうや)く遅し
花の色は漸く暖かな風をうけて、
鶯の声も日増しにのどかになってくる(春の盛りに近づいてきた)
嵯峨天皇 五言律詩「春日作」より冒頭二句