知られざる名品 米ふつ
比田井天来は、中国は唐以前、日本は平安時代以前の古典を広く学べと教えました。確かに近代の作品を習うと、その風に染まってしまいがちで、自分独自の書を確立しにくくなります。
でも、唐時代より後でも、好んだ作家がいます。その一人が米ふつです。
その証拠がこれ。天来壮年の力作である『天来習作帖』に、米ふつ「値夜帖」の臨書があるのです。書論の中でも、何紹基と米ふつによいものがあると書いています。
そこで、知られざる名品に米ふつを取り上げたというわけ。
ちなみに、比田井南谷が好きだったのは
これです。米ふつの「大行皇太后挽詞」。自著の『中国書道史事典』にも載せました。
で、知られざる名品『米ふつ』に「値夜帖」をどうして載せなかったのかって? 膨大なコレクションの中にまぎれてみつからない・・・。
今までの出版秘話