天来書院
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風雪ながれ旅


書家という呼称が全盛のこの頃ですが、大正の頃にはある意味「・・」だったのだと。

今回は、弊社の前身であった大同書会の機関紙「書勢」第1巻第2号(大正6年11月)の「赤インキ」と題されたコラムを紹介させていただきます。
目次を見れば物凄い豪華メンバー!!

筆者はどなただったんでしょうか?
私は井原雲涯先生ではなく、天来先生ではないかと踏んでおりますが、果たして如何に?
本当に昔の先生方の気概がよく感じられます。
さあ、その本文です。

 

▲世間では、画かきのことを、上等には画伯と呼び、中等には絵師と呼び、下等には画工と呼び
▲字かきのことを、上等には書家と呼び、下等には筆耕と呼んでゐるが、字かきの方にはまだ青切符がない
▲ところが画かきの上等称呼たる画伯と云う名称は、何処となく金持ちしい連想を伴うが
▲字かきの上等称呼たる書家と云う名称は、田舎などへ行くと、丸で乞食の異名ででもあるかの如く取扱われている
▲これは畢竟書家でも何でもない乞食が、禿げ筆一本、破れ紙一と巻きを肩にして無暗に地方を荒らし回った所から生じた弊風であろうが
▲それが為に、君子人たる真正の書家が、筆を載せて天下を歴遊する場合に、到る処で誤解をうけて少なからず迷惑することがあると云う
▲此ことを聞き込んだ或ひま人が、それは書家と云う名称が既に悪連想を伴うのである、幸いに字かきの方の称呼には、画かきの方と違ってまだ青切符がないのだから
▲書家と云う名称を青切符の中等へ追い下ろし、その代りとして、新たに書学者と云う上等名称を設ければ、最も妥当適切の妙を得たるものではないかと云うことを考え出した
▲僕も此ひま人の考案には双手を挙げて大賛成だが、然し書学者などと云う厳しい白切符で通用する大家先生が
▲見渡した所、今日幾十人あるであろうかと思えば聊か心細いーーとさる人の話をその侭………

 

何だか、先生方の揮毫旅行の実感が篭ってますね。

私なんぞは、禿げ筆・破れ紙グループなもんで、痛い痛いと身に沁みる思いです💦
ちなみに「青切符」とは二等車の座席指定券で「白切符」は一等車の座席指定券とのことだそうです。