指を動かさない筆法

2015年7月24日

私事から始まって恐縮ですが、大学生の頃、急逝した母のかわりに、珍しく父、比田井南谷が書道を教えた時期がありました。運筆の基本は「指を動かさないで、常に筆軸と紙の角度を同じに保つ」こと。廻腕法と異なり、筆軸は紙に対して斜めにかまえます。

そんな教え方をするのは南谷だけかなあ、と思っていたら、ほかにもいらっしゃいました。それが石飛博光先生だったのです♡

石飛博光

こんなふうに斜めにかまえます。

石飛博光

横画の最後も同じ角度。

石飛博光

こんなふうに、筆の角度を変えてはいけません。もちろん上達したら、自由に指を使ってもよいのですが、最初から指を使うと、指を使わないと書けなくなってしまうのです。石飛先生は一時期、金子鷗亭先生の筆遣いをそっくりまねたことがあったそうです。だから南谷と同じなのかもしれません。とにかく、新発見!

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今、きれいな字を書くためには、正方形に入るように字形をそろえなさい、と教える方がいらっしゃいますよね。でもそれは活字の形。手書き文字は違います。大小や縦長、横広など、一つ一つの文字に個性があるのです。

石飛博光

これは、同じことばをいろんな構成で書いた草稿です。これらの中から選んで作品を書きます。

石飛博光

作品を書いているところ。

Web2

作品。

石飛博光の書道

落款の工夫や斬新な技法も披露してくださいました。節筆を応用するとこうなります。

石飛博光

個展のとき、和光の入り口のウィンドウを飾った作品を書いていらっしゃるところ。個展の舞台裏も披露してくださいました。

YouTubeでも紹介しています。

それにしても、石飛先生の個展は、作品が放つオーラと観客の熱気で、銀座の真ん中に異空間が生まれたみたいでした。

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書道