暑かった今夏もようやく気温が下がってきました。
これからは台風の季節でもありますね。
すでに水害のニュースを耳にするようにもなり、今年は被害が少ないことを願わずにはいられません。
今月は、お月見(十五夜)です。
今年の十五夜は、29日(金)だそうです。
「中秋の名月」とも言われますが、一年の中で最も空気が澄んでいて月が美しく見えるとのこと。
元々古来から、日本では月を愛でる習慣がありましたが、「十五夜」のお月見は平安時代に中国から伝わりました。
月を眺めてお酒を飲んだり、船の上で詩歌や楽器を楽しんだり。
貴族の間で楽しまれていた十五夜のお月見は、江戸時代になり庶民に広がっていきます。
その頃には、貴族の楽しみ方とは違い、無事に農作物を収穫出来た事を喜び感謝するという日になったそうです。
自然信仰の厚い日本ならではな感じがして、ステキだなと思いますね。
名月に辻の地蔵のともしかな 黒柳召波
名月に麓の霧や田の曇り 松尾芭蕉
名月のいづる夕焼ひろごりぬ 渡邊水巴
十五夜のたうもろこしの影の庭 長谷川素逝
十五夜の月ふり出すや馬の首 正岡子規
十五夜の豪雨しぶくや洗ひ鯉 渡辺水巴
今でも、ススキ、お月見団子、農作物などをお月様にお供えします。
ススキ = 悪霊や災いから農作物を守り翌年の豊作を願う
お団子 = お団子を月にみたて、月に収穫の感謝を表す
農作物 = 収穫された作物をお供えし、収穫に感謝する
という意味があります。
現代では、一般家庭でお供えをするということは減ってしまっているかも知れません。
我が家の子ども達がお世話になった保育園では、毎年お月見の日には、お迎えに行くと吹き抜けの廊下にお月見3品がお供えされていました。
それを目にすると改めて、秋だなぁ、と感じたことを覚えています。
十五夜の高まりゆきて力ぬけ 松本たかし
十五夜を吹きさらしたる西の空 松倉嵐竹
春の花見秋の月見に嵯峨もよし 井原西鶴
のりながら馬草はませて月見哉 向井去来
何着てもうつくしうなる月見かな 加賀千代尼
漕ぎ出でて月見の船や湖半 河東碧梧桐
昔から、月にはうさぎがいてお餅をついている、と言われています。
この月うさぎ伝説も諸説あるようです。
一般的なのが、空腹で倒れてしまった老人(実は帝釈天様)に食べ物を持って帰れなかったうさぎが、火の中に飛び込み自分の身を老人に捧げた、という昔話の「つきのうさぎ」でしょうか。
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 詠み人知らず
この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば 藤原道長
東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ 柿本人麻呂
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな 額田王
天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ 柿本人麻呂
見ればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど 大江千里
あかあかと十五夜の月街にありわつしよわつしよといふ声もする 北原白秋
日本ではうさぎですが、国それぞれで見えるものが違うようです。
韓国=餅をつくうさぎ
中国=薬草を挽くうさぎ
中国の一部=大きなハサミのカニ
モンゴル=イヌ
インドネシア=編み物をしている女性
ベトナム=木の下で休む男性
インド=ワニ
オーストリア=男性が灯りを点けたり消したりしている
カナダの先住民=バケツを運ぶ少女
中南米=ロバ
北ヨーロッパ=本を読むおばあさん
南ヨーロッパ=大きなはさみのカニ
東ヨーロッパ=女性の横顔
アラビア=吠えているライオン
ドイツ=薪をかつぐ男
等など。
皆さんは何に見えますか?
因みに私は、クワガタです(笑
「中秋月」 蘇東坡
暮雲収盡溢清寒
銀漢無聲轉玉盤
此生此夜不長好
明月明年何處看
<解釈>
夕暮れの雲は跡かたもなく、清々しい冷気が夜空に満ちている。
天の川は音もなく玉の皿のような月を天上にめぐらせている。
限りあるわが生涯、いつまでもこのような素晴らしい明月の夜に会えるとは限らない。
この明月のすばらしさを明年はどこで観ることであろうか。
十五夜お月さん 母さんに
も一度
わたしは逢ひたいな。
野口 雨情 「十五夜お月さん」より
今年の十五夜、日常から少しだけ離れて、ゆっくりの月を眺めてみるのもいいですね。
みなさま、ステキな秋をお楽しみくださいませ。