
お正月が過ぎ、スーパーやコンビニ、テレビのCMなどで「恵方巻き」の宣伝を目にするようになったこの頃です。
福豆も売られていますね。
もうすぐ節分です。
節分とは、みなさまもご存知の通り、病気や災害を鬼に見立て、豆を撒いてそれを追い払い、福を招き入れるというものですね。元々は「追儺(ついな)」という宮中の鬼払いの儀式が広まったものだそうです。
炒った大豆を神棚にお供えしたものが「福豆」。福豆は邪気を払うと考えられています。
節分の豆をだまつてたべて居る 尾崎放哉
さそはれてまゐる節分の月がまうへに 種田山頭火
節分の高張立ちぬ大鳥居 原石鼎
節分やよむたびちがふ豆の數 正岡子規
わがこゑののこれる耳や福は内 飯田蛇笏
わするゝな日々に福は内鬼は外 広瀬惟然
我が家の子ども達がお世話になった保育園には、毎年、節分に本物の鬼がやって来ます。
1月から各クラスでどうすれば鬼を退治できるのか何度も話し合いをします。
そして、退治するための罠や武器を作り、柊をたくさん集めてきてあちらこちらに貼り、教室の中に要塞や防御壁を作ったり、鬼が来た時のシミュレーションをしたり、それは綿密に準備をするのです。
「鬼が怖いから保育園行きたくない」という子も出てきます。「みんなで○○ちゃんを守ろう」なんて団結も出てきます。
豆打てば幻影走る吹雪かな 渡邊水巴
豆撒いてことなかれとぞ祈るなる 石田波郷
豆をうつ声のうちなる笑ひかな 宝井其角
煎豆の福が来たぞよ懐へ 小林一茶
須弥壇の三宝にあり年の豆 高浜虚子
当日の朝は、みんな緊張した面持ちで登園します。保護者は一切見ることができません。
私は、帰りの道中で、子どもから鬼退治の様子を聞くのが毎年楽しみでした。
「園長先生が鬼に跳びキックしてた」
「○○君が鬼を園庭まで追いかけて攻撃してた」
活躍するだろうと思っていた子が怖くて隠れてしまったり、隠れるだろうと思っていた子が勇敢に闘ったり。
そんな話を聞いて、どんな鬼退治だったのか思いを馳せたものです。
後日、クラスの先生が、どんな様子だったのかを丁寧にお便りで伝えてくださり、そのお便りを読むのもとても楽しみでした。
今年はどんな鬼退治がくりひろげられるのでしょうね。
家ごとに儺やらふ声ぞ聞ゆなるいづくに鬼はすだくなるらむ 香川景樹
年ごとに人はやらへど目に見えぬ心の鬼はゆく方もなし 賀茂保憲女
吾歌をよろこび涙こぼすらむ鬼のなく声する夜の窓 橘曙覧
豊酒の屠蘇に吾ゑへば鬼子ども皆死しにけり赤き青きも 斎藤茂吉
やらはれて逃げゆく鬼のうしろかげ鐘馗が睨むふりのをかしさ 北原白秋
我が家でも、子どもが産まれてから、毎年豆まきをするようになりました。
子ども達も成長してきましたので、今年はできるかどうか?!
こんなご時世だからこそ、みなさまも、恵方巻を食べて、豆を撒いて、それぞれのご家庭で日本ならではの「節分」を楽しんで、福を大いに招き入れていただきたいと思います。