季節に映ることば
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謹賀新年

渡部 忍

新年明けましておめでとうございます。
関東は穏やかな新年となりました。
みなさまの地域はいかがでしょうか?

私は日にちが変わってから、近くの氏神様に初詣に行きました。
小さな神社で、普段はお宮の扉も閉まっていてひっそりとしているのですが、お正月は神社幕が掛けられ、扉が開いて奥の御神体も目にすることができます。
夜中ということもあるのか普段お参りする時の雰囲気とは全く違う空気が流れている気がして、とても気が引き締まる思いがするのです。

お札をいただき、みかんもいただき、今年も良いスタートが切れた気がしています。

えりあしのましろき妻と初詣 日野草城

ちりひぢの旅装かしこし初詣 竹下しづの女

ぬかづきて我も神の子初詣 鈴木花蓑

ひよどりの山彦の澄む初詣 田村木国

人々を率てちらばりて初詣 高浜虚子

詣ありあけ月の森づたひ  岡本松浜

参道の直なる歩み初詣 皆吉爽雨

鳩舞へる行手の宮や初詣 鈴木花蓑

初詣雪見事なる太鼓橋 鈴木花蓑

みなさんも、初詣には行かれたでしょうか?

初詣の時期は、関東は7日、関西は15日までに、というのが主流のようですが、コロナの影響もあり、こだわらなくなりつつあるようです。

我が家も大きな神社にお参りに行くのは、3が日は混雑するので避けることが多いのですが、今年は3日にお参りしてきました。
午後だったからか予想より混んでなく、昇殿参拝することもできました。
やはり気持ちが晴々としますね。

初詣はお正月のメインイベントとも言えるでしょうから、混雑も楽しむつもりでお出かけになるのもいいのかも知れません。

ほのぐらきゆふまぐれどきわれ等四人神のみ前に近づきゆきつ 斎藤茂吉

ちはやぶる神いたまひてみ湯の湧く湯殿の山を語ることなし 斎藤茂吉

そして、正月明けの風習として、1月7日に食す「七草粥」もありますね。 

七草粥の歴史をたどると・・・

日本では古来から、年の初めに野に出て芽を出し始めた草を摘み取る、という「若菜摘み(わかなつみ)」という風習がありました。

一方中国では、1月7日の「人日(じんじつ)」に七種類の野菜を入れた「七種菜羹(しちしゅさいこう)」という汁物を食べて無病息災や立身出世を祈る、という習慣がありました。

中国から伝わった「七種菜羹」と「若菜摘み」が合わさって「七草粥」となったと言われているようです。
平安時代では宮中行事でしたが、江戸時代には武家から庶民の間へ広まったとされています。

七種の夜を根深煎る隣あり 横井也有

天暗く七種粥の煮ゆるなり 前田普羅

たとへばや春の七草枯園に 久保田万太郎

七種や薺すくなの粥すする 臼田亜郎

七草は七ツ異なる風情かな 正岡子規

野べの石七草すべて寄り添へる 久米正雄

七草やけふ一色に仏の座 各務支考

七日客七種粥の残りなど 高浜虚子

せり・なずな・ごぎょう・はこべら・仏の座・すずな・すずしろ

この7種が春の七草として定着していますが、地域によって入れるものは違うようです。
スーパーでは「七草粥セット」も売られていますね。

あら玉の年のはじめの七草を籠に植えて来し病めるわがため 正岡子規

明日からは若菜つまむと標めし野にきのふもけふも雪は降りつつ 山部赤人

君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇

お正月休みも終わり、お仕事が始まった方も多いのではないでしょうか。

日照時間も少しづつ伸びてきているのを感じます。
寒さは続きますが、春に向かって気持ちも上向きになりますね。

2023年、きっと良い一年になることと思います。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

     
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