清・段玉裁著「段氏述 筆法」(鳴鶴旧蔵本)

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著者の段玉裁は江蘇省金壇県の人。字は若膺(じゃくよう)、又は茂堂。号は硯北居士、僑呉老人、長塘湖居士。乾隆(在位1736〜1795)の挙人。官は巫山知県に至った。「小学」に通じ、『説文解字注』、『経韻楼集』等を著わした。

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明治16年(1883)に鳳文館より発行。この鳳文館には前田黙鳳(1853〜1918)も経営に加わっていた。

▲表紙 / 扉

題字・三条実美書。口絵・安田老山画。序文・川田甕江撰・日下部鳴鶴書。本文・松田雪柯書。跋文・松田雪柯、巌谷一六書。刻者は当時の名手木村嘉平。

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明治13年(1880)2月、松田雪柯(1823〜1883)は、これとは別に「段氏述筆法」を自費出版している。その本を携え、巌谷一六(1834〜1905)、日下部鳴鶴(1838〜1922)と共に、その年(明治13年)4月に来日した楊守敬(1839〜1915)を7月と8月に訪ね、本に書かれている内容について種々不明な点を問い、説明を受けている。
▲序文:日下部鳴鶴書 / 本文:松田雪柯書

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松田雪柯
 
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▲朱書:日下部鳴鶴による廻腕法の解説 / 巌谷一六の跋文(朱書は日下部鳴鶴)

日下部鳴鶴は、この楊守敬訪問の時、守敬と筆談し質問したことや守敬が答えてくれたこと、廻腕法の筆の構え、運筆の方法等をメモに取っていた。今回紹介する「鳴鶴旧蔵・段氏述 筆法」は、そのメモを3年後に整理して欄外に朱で書き込んだものである。鳴鶴の気持の高揚、驚きや喜びが表出して、直に伝わってくるようである。

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▲刻者 木村嘉平 / 楊守敬肖像

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