2008年7月31日

比田井南谷 臨書 「伊闕仏龕碑」

今日は、比田井南谷が臨書した「伊闕仏龕碑」をご紹介します。「中国書道史事典」の解説には、すごくおもしろいことが書いてあるんですよ。

比田井南谷の臨書は、作品と同じように、好きな人とそうでない人に分かれます。この「伊闕仏龕碑」は「自分に正直な作品を作りたい」と言った南谷の素直な感性が、そのままあらわれたような臨書です。

臨いけつ3.jpg

どうですか? 素朴で無邪気な感じがしませんか?

「中国書道史事典」の中で、こんなふうに解説しています。

 

一つ一つの点画がいかにもまじめに書かれ、一見あまりにも平凡に見えるけれども、彼の堅実な人柄がよく現れている。その飾らない、素朴な、内面的な特質を鑑賞すべきである。この碑は、文字の大きさが約4センチ四方くらいあって、筆法がよくわかるために、一般には初心者の手本に向いているように解されている。楊守敬は「まだ陳・隋の旧格に従っている作品」だといっているが、旧に従っているというより、むしろ陳・隋のこせつかない、素朴な書風に対する彼の共鳴を見るのである。

この碑の翌年に書かれた「孟法師碑」は、みなぎった強さと理知的な構成を示している。これに対し、この書の文字ごとに出来不出来があるように見える点を未熟なためと考えるならば、それはまだ書の本質を十分理解していないからで、結体の整斉さや、点画の些事に憂身をやつす職業書家にとって、この碑はまさに頂門の一針といえよう。

チョ遂良の書の真価を知るためには、高宗の命令で書いた「雁塔聖教序」の神経の行き届いた書ばかり鑑賞していても駄目である。彼が心から愛し尊敬した太宗の下で、その皇子のために書いた純真無垢なこのような作品をも鑑賞することによって、はじめて彼の人間性を書境の深さを知ることができる。

 

「点画の些事に憂身をやつす職業書家にとって、まさに頂門の一針」とは、よくいったものです。(けんか売ってる?)

会社に原本がないので「古典で習う楷書-伊闕仏龕碑」の基本字例(この書風で作品を書くための字典)を掲載します。

いけつ 字例.jpg

うーん、確かに、って思いません?

 

臨書に挑戦!(田村南海子ブログ)    

営業部からの便り(橋爪ますみ・佐藤貞男)

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