書道で使われる墨は、3つの原料から作られています。
①煤(すす)
一番目の原料は「煤」。墨の黒い色のもとです。
この「すす」には二種類あります。油煙墨を作るための煤と、松煙墨を作るための煤です。
油煙墨の煤は、菜種油やごま油など、植物性の油を燃やして作ります。
松煙墨の原料となる煤を作るために、赤松に傷をつけます。松脂が吹き出してくるので、これを小割にして燃やします。
油煙墨と異なり、広い空間で燃やします。壁や天井一面に煤ができます。これを集めるのです。
これらの煤は高価なので、現代では、重油・軽油・灯油を燃やした煤も使われます。
②にかわ。煤は粉末なので、これを固めるために使われます。
「にかわ」はまた、煤を紙の上で安定させる役割も果たします。
にかわの原料は、牛や豚、水牛などの皮の部分で、これを煮出してコラーゲンなど、タンパク質を抽出します。
これを天日で干し、板にかわを作ります。
③香料
龍脳や麝香などで、にかわの匂いを消すために使われます。
墨を磨る時に漂ってくる香りはよいものですね。
さあ、作品を書こう! というやる気を起こさせてくれるものでもあるそうです。
ほかに、にかわを溶かすための水も必要です。
また、金で巻く場合は金箔を使います。
青い色をつけるために、青い顔料が使われることもあります。
液体墨の場合
①煤。工業煙カーボンブラックが大半を占めます。
②にかわか合成糊剤。水溶性合成樹脂と呼ぶメーカーもあります。
③湿潤剤。乾燥を調整するための調整剤です。
④香料。固形墨と基本的に同じです。
⑤防腐剤。
⑥塩(にかわを使う場合)。防腐剤の役割を果たします。
⑦水