比田井南谷展開催にあたり、京都芸術大学に依頼されて、書画コースのZOOM講義をすることになりました。
日時は2023年1月28日(土)14:30〜16:00。
インターネットのライブ放送はどなたでも視聴することができます。
上記の放映時間に下記のリンクをクリックしてください。
https://us06web.zoom.us/j/81875720398
「zoom.usを開きますか?」と聞かれるので、「zoom.usを開く」をクリック。
お名前(カタカナフルネーム)、メールアドレスを入力すると、ウェビナー画面が立ち上がり、放送を見ることができます。
視聴できるのはリアルタイムのみです。
講義では、南谷の作品の変遷や、アメリカでどのように受け入れられたかなどをお話しするつもりです。
去年の道風記念館南谷展の講演でも同じ内容をお話ししましたが、その後、色々考えることもあり、いくつか内容を追加することにしました。
その一つが南谷の臨書です。
今回の展示は抽象的な作品がメインです。
南谷の父、比田井天来は、書を学ぶ本道は「臨書」だと言いましたが、南谷はどうだったのでしょう。
もちろん、臨書しました。
天来は「すべての古典名品を学べ」と言いましたが、南谷も同じ考えでした。
まずは「書道全集」を片端から臨書し、その後、天来が集めた法帖や拓本を手当たりしだいに臨書したそうです。
これは王羲之「郷里人帖」の臨書です。
1937年、25歳の時のもので、比田井天来はこれがとても気に入って、最晩年、病床のすぐそばに置かせたそうです。
左は顔真卿「顔勤令碑」、右は「木簡」の臨書。
まったく異なった線質をみごとにとらえていると思います。
「電のヴァリエーションと同じ頃に書いた」という、南谷直筆メモがある封筒に入っていました。
南谷は30歳前半、新しい書表現を模索していたときの情熱が伝わってきます。
この後、次第に、南谷独特の味わいを持つ臨書が書かれました。
実は、「臨書」の中にこそ、南谷芸術を解く鍵があると思っています。
明日、うまく説明できるか心配ですが、やってみます(キッパリ)。
南谷は弟子を取りませんでしたが、筆法を指導することもありました。
上はその時に使った「楷書基本点画」です。
天来の俯仰法ではなく、手首から先を動かさない独特の筆法です。
次に、今回は、南谷が作ったフォントもご紹介したいと思っています。
天来は子どもたちに、書で生活をしてはいけないと諭しました。
南谷もこれを受け入れて、大学卒業後は陸地測量部(国土地理院の前身)に勤務し、後、「横濱精版研究所」という会社を設立しました。
電線にメーカーの名前や各種データを印字するためのロールを製作する会社です。
電線に印字するので、横長でしかも見やすくなければなりません。
南谷が開発した特別のフォントです。
最後に、みなさんが興味を持たれる「不思議な墨」のお話です。
√k一階の一番奥に展示されている「作品64-29」。
書いた時の筆の動きがそのまま紙の上に定着する「不思議な墨」を使っています。
ボンドを混ぜているわけではありません。
古い時代の中国の墨を二種類、磨りあわせたのです。
どんな古墨でもいいわけではありません。
ほかにない、唯一の組み合わせです。
この発見は南谷を狂喜させ、この墨を使ってたくさんの作品が書かれました。
今回は「不思議な墨」がどのように作られるのか、その様子も動画でお目にかける予定です。
興味のある方はぜひご視聴いただきたく、ご案内申し上げます。
比田井南谷オフィシャルサイトはこちら。
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