桜の季節がやってきました。

 

まずは、桜の写真を一枚。

東京の開花宣言は3月20日でしたが、それに先駆けて、3月15日に撮影されたソメイヨシノです。

場所は横浜市旭区にあるこども自然公園、撮影者は筒井茂徳先生です。

今まさに花が開いたような、初々しい美しさです。

 

 

天来書院ホームページでは、「作品に書きたいことば」を集めていろいろな場所でご紹介しています。

いずれも、没後50年を過ぎた文学者による、著作権フリーのことばです。

その中から、桜をうたった詩歌を集めたページをご紹介しましょう。

それぞれから、例として一つだけ取り上げました。

ここでは詩歌と出典をイタリックで表示しました。

 

季節に映ることば」では、二度にわたって桜をとりあげています。

 

桜 短歌と俳句

清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふひとみなうつくしき

 (「みだれ髪」与謝野晶子)

 

桜 現代詩など

春は かるく たたずむ
さくらの みだれさく しづけさの あたりに (「春」八木重吉)

 

 

筒井ゆみ子先生の連載「みやと探す・作品に書きたい四季のことば」でも、桜を読んだ詩歌が紹介されています。

 

第7回 花の季節・桜

桜をうたった漢詩・和歌・散文・文部省唱歌などが紹介されていますが、それだけでなく、日本の歴史の中で「桜」ということばがどのように使われてきたか、美しい文章で語られています。

 

日本人が桜を至上の花とした起源は古代、記紀の時代以前にさかのぼります。記紀の神話に美しく理想的な女性として語られる木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)は富士山の浅間神社の祭神ですが、桜神でもあり、伝説にこの女神が富士の頂から種を蒔いたのが国中の桜の起源であるといいます。

 

第55回 和歌 花、山桜、桜

 

  花下送日といふことを
 山桜ちれば咲きつぐ陰とめて
 おほかた春は花にくらせり  (賀茂真淵『賀茂翁歌集』)

 

 

最後に、著作権フリーの桜の詩歌が掲載された書籍をご紹介します。

 

みやが選ぶ 小さな詩集」みや撰・筒井ゆみ子編

本が好きな猫、みやちゃんが選んだ美しい四季の言葉が載っています。

 

春の日のうららにさしてゆく舟は

棹のしづくも花ぞ散りける (『源氏物語』胡蝶)

 

作品に書きたい花の詩(改訂版)」 渡部忍編

 

ところもしらぬやまざとに

ひまもなくさくらのはなのちりいそぐを

いろあはきさくらのはなのひまもなくななめにちるを

あさはゆめむ  (朝はゆめむ 三好達治)

 

作品に書きたいこころの詩」 渡部忍編

 

さくらだといふ

春だといふ

一寸 お待ち

どこかに

泣いてゐる人もあらうに  (桜 山村暮鳥)

 

 

最後にご紹介する写真は、日本の固有種、山桜です。

撮影は筒井茂徳先生。

今年、3月23日に撮影されました。

 

 

しきしまの大和心(やまとごころ)を人問はば 朝日ににほふ山桜花(本居宣長)

 

筒井茂徳先生のブログ「古碑帖の正確な見方」はこちら

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