高知新聞で「書家と碑文」という連載(毎週火曜日更新)が始まっています。

書道愛好家にとって、またとない企画!

どこにどんな石碑があるかわかれば、旅行中に訪れることができますものね!

 

記者、池添正さんによる記名記事で、第二回は川谷横雲(かわたにおううん)です。

 

川谷横雲は高知県安芸郡川北村に生まれました。三人兄弟の次男で、三男は川谷尚亭です。

36歳で上京し、日下部鳴鶴の門に入って12年学びますが、故郷に帰り、男女の師範学校で習字の教壇に立ち続けます。

書道教育に多大な貢献をすると同時に、第一回高知県文化賞を受賞し、高知県書道界の“中興の祖”と言われます。

 

以下の石碑の写真画像は池添さんからご提供いただき、データは池添さんの記事からお借りしました。

 

川谷横雲

上は、香南市野市町大谷にある土佐勤王党幹部「大石圓(まどか)先生頌徳(しょうとく)碑」(1919年)。

卵型の石に8文字書いていますが、横幅のある隷書で文字間をつめ、大きな空間を表現しています。

 

川谷横雲

高知市追手筋2丁目、土佐女子中高校の西側にある「山内容堂公誕生之地」の碑(1928年)。

最初の師、西川蓼花は貫名菘翁の門下だそうですが、よどみのない健やかな線と自然な趣に、菘翁の筆法を感じます。

堂々とした格調高い書。旅先でこんな石碑に出会ったら嬉しいですね。

 

川谷横雲

江戸時代の儒学者、谷時中の「頌徳之碑」(高知市横浜東町)。1935年の建立です。

 

川谷横雲

日清日露戦役紀念碑(南国市稲生、稲生小学校南側)1926年建立 。碑額は「忠烈」。

 

川谷横雲

表忠碑(安芸市川北の川北公民館南側)は1925年建立。碑の表題は海軍大将男爵の島村速雄、碑陰(裏側)が川谷横雲です。

 

川谷横雲

野中兼山「頌徳之碑」(高知市塩屋崎町2丁目の筆山)。1938年建立。碑額「頌徳之碑」は田中光顕、碑文が川谷横雲です。

 

横雲の謹厳実直、清廉潔白な人柄は多くの人に慕われ、たくさんの石碑の揮毫を依頼されました。

 

「片時も書のことを忘れなかった横雲は、いつも指を動かしながら練習していたという。

晩年、病で床に伏してもそれは無意識の中で続いていたのだろう。

布団の指が当たる部分だけがすれ、穴が開いていたというエピソードが残っている。」

(池添さんの高知新聞記事より引用しました)

 

川谷横雲

この碑の建立は1987年。「透徹極其意」がのびのびとした豊かな筆致で書かれています。安芸市矢ノ丸2丁目、江ノ川上公園。隣には弟川谷尚亭の「瀟灑風流」碑があり、ほかに手島右卿、南不乗の石碑もあるそうです。

 

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連載「書家と碑文」は毎週火曜日更新。これからどんな石碑の紹介があるか、楽しみです。

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